工学研究科共同利用機器センターの取り組み
平成30年6月
共同利用機器センター長 前中 一介
製鉄や造船、化学工業などの重厚長大産業から半導体や家電などの軽薄短小産業を経て大きく成長した我が国も、
従来の薄利多売型ビジネスでは近隣諸国の追随を許し失われた20年などと呼ばれる状況が続いてきました。
我々が生き残るためには、新しいスキーム、薄利多売商品から高付加価値商品開発への転換が必要であると考えられます。
現在のところ、特殊素材や精密加工技術など先端技術の分野ではまだまだ我が国にも世界のリーダーシップの一役を担う実力が
ありますが、今後これらの技術が一般化していくことは容易に想像できます。したがって、我々は常に世界の先端を担って
いける技術開発の手を緩めることができません。先端技術を開発しつづけていくためには、高度な分析・計測機や先端加工設備
が必要ですが、昨今の経済状況では特に技術の下支えをになう中小企業で独自にこれらの機器をそろえることは大変難しい状況です。
一方で本学では最近、JSTやNEDO、兵庫県などからさまざまな研究プロジェクトを委託され、先進装置を導入するケースが増加
しております。プロジェクト終了後、これらの機器は大学へ委譲されることも多く、これらを用いてプロジェクト終了後も関連する学術的成果が
一段と加速されています。現在、我々はこのような先端機器を地域社会とともに我が国の技術発展に資するため
、共同利用機器として開放する検討を進めております。本学では旧来から共同利用機器センター
を設置し、学内の研究者の共同利用を推進しております。また、平成25年には
MEMSデバイス開発支援センターを発足させ、こちらはすでに平成26年から学外機間
からの利用を進めております。今後、共同利用機器センターが中心になり、学内の設備を可能な限り共用していただけるよう、
準備を進めたいと考えます。運用予算や人員の面でさまざまな障壁もございますが、公的な支援公募に提案するなど、実現に向けて
積極的な活動を進めていく所存です。皆様からのお問い合わせ、ご協力、ご支援が我々の力ともなりますので、今後とも
何卒よろしくお願い申し上げます。
現在、上記MEMSデバイス開発支援センターが先行・独立して支援事業を行っておりますが、近い将来共同利用機器センターと統合し、
幅広い分野の支援をシームレスに行える環境が構築できれば、と考えております。