第1回イノベイティブコンピューティングに関する調査研究会

講演会「量子力学とシステム・情報・制御」

主催: 計測自動制御学会 システム・情報部門
企画: イノベイティブコンピューティングに関する調査研究会

本講演会案内のPDFファイルはここからダウンロードして下さい

講演会概要

期 日: 2007年7月21日(土)  10:50〜17:00
会 場: 兵庫県立大学 神戸キャンパス 大講義室
     〔神戸市中央区東川崎町1-3-3  神戸ハーバーランドセンタービル23階〕
     JR神戸駅徒歩5分//神戸高速鉄道高速神戸駅徒歩7分//市営地下鉄ハーバーランド駅徒歩5分
参加費: 無料,ただし資料代等として1,000円を予定しております(当日受付にてお支払い下さい)
問い合わせ先: 松井 伸之 (兵庫県立大学 大学院 工学研究科  電子情報工学部門),TEL/FAX (079)267-4993
          または 西村治彦 (兵庫県立大学 大学院 応用情報科学研究科), TEL/FAX (078)367-8618
          E-mail: innovative(atmark)eng.u-hyogo.ac.jp (お手数ですが(atmark)を@に置き換えて下さい)

 革新的計算システムのための新しい「知」の創出を目的とし,自然法則(ブラウン運動や量子現象あるいは確率共振など)から社会システム(複雑ネットワー クによるモデリングなど)にわたる題材を取り上げて,これら異分野研究者間の活発な議論を引き起こし,ナノ科学から社会科学までを融合した横断的研究を立 ち上げる目的で,システム・情報部門の調査研究会として本年度(2007年4月)から,イノベイティブコンピューティング調査研究会を設立いたしました。
 本講演会はその第1回調査研究会の催しとなりますが,SICE会員の中にはシステム,情報,制御の観点から量子現象に興味をもたれている方々が大勢おら れることに鑑みて,今回の講演会を企画いたしました。  多数のご参加をお待ちしております。

講演プログラム

10:50〜11:00: 開会の挨拶
松井伸之 (兵庫県立大学,計測自動制御学会 システム・情報部門 イノベイティブコンピューティング調査研究会主査)

11:00〜12:30: 1.量子アクチュエータ
乾 徳夫 先生(兵庫県立大学)

 ナノ・マイクロマシンの発展とともに"量子機械"に興味がもたれつつあります。
 講演では二種類の量子機械についてお話ししたいと思います.一つ目はその駆動原理が古典力学では説明できない量子機械で,特にCasimir力で動くア クチュエータについて述べます。二つ目は量子効果が顕著なナノ電気機械振動子で簡単に紹介を行います。将来,これらの機械をうまく利用すれば機械式量子コ ンピュータが実現できるかもしれません。

12:30〜13:50: 昼食 休憩

13:50〜15:20: 2.量子ゲーム/ナッシュ均衡とベル不等式
全 卓樹 先生 (高知工科大学)

 ゲーム理論は経済学をはじめとする社会科学を,数理的手法に基づいた本来の意味の定量的な科学にするための基礎を提供しています。近年ゲーム理論を「量 子化」する試みが行われてきました。これは情報処理や微視的系の直接的制御に際して,量子的資源を生かして,古典的常識では不可能な操作を行なう場合の, 一般的な理論の建設を目指したものです。それと同時にこれは,従来のゲーム理論を「仲介者」の役割をエレガントな形で陽に取り込んで拡張する定式化でもあ ります。本講演では ゲーム理論の入門から初めて,量子ゲームのこの両側面を同時に紹介したいと考えています。

15:20〜15:30: 休憩

15:30〜17:00: 3.量子カオスの現代的課題:ネットワークと非線形ダイナミクス
中村勝弘 先生(大阪市立大学)

 量子力学の複雑ネットワーク輸送への応用や量子力学における非線形効果の研究(ボーズ=アインシュタイン凝縮(BEC)など)は,ナノテクノロジーやナ ノサイエンスにおける最近の大きな基礎的テーマです。
 本講演では,まず第1に,ゼロ次元量子ドットから成る複雑ネットワーク(梯子型や2重らせん型)に複数の外部端子を接続して輸送係数(透過率)を考察 し,入力エネルギーへの依存性や欠陥(障害)ネットの影響を明らかにします。
同時に、非線形量子ダイナミクスを考え,十分に幅の広いソリトンをネットワークに入射した場合,上記の輸送係数が再現されることも示します。これらの性質 から複雑ネットワークをナノスケールスイッチやソリトンフィルターなどに応用できる可能性があることを指摘します。
 第2の話では、非線形量子ダイナミクスについての基礎的話題を提供します。
特にBEC凝縮体の重力に抗するレビテーション(空中浮揚)と慣性を持つ渦波束やソリトン分子のカオス挙動について理論予想をします。

17:00: 閉会の辞
伊丹哲郎(バブコック日立,調査研究会副主査)



戻る