本研究は,全身麻酔下で手術を受ける患者を対象とした 麻酔の自動制御システムの開発が望まれています 麻酔は鎮静,鎮痛,筋弛緩の3要素からなるとされており, 静脈麻酔では鎮静薬,鎮痛薬,筋弛緩薬の3種類の薬の 投与速度を調整することにより管理されています. この3薬剤の投与速度の調整を患者の状態に合わせて 自動で行うシステムの開発することが本研究の目的です.
本研究では,以下の点について研究を行っています.
静脈麻酔薬としてはプロポフォールが用いられてきましたが, 最近レミマゾラムが新しい静脈麻酔薬として認可されました. レミマゾラムは拮抗薬があり覚醒がコントロールできる, 血圧などへの影響が少ないなどの利点がありますが, プロポフォールで利用されてきた鎮痛度指標である BIS (Bispectral Index)では鎮静状態を適切に把握できないとされており, 鎮静状態の把握方法や適切な投与方法の検討が行われています.
我々も倫理委員会の承認(香川大学2022-116, 情報公開文書)のもと レミマゾラムによる鎮静状態に適した指標と 患者に現れる効果を表す数式モデルの検討を行っています.
筋弛緩度指標と筋弛緩度制御の研究については, こちらのページを ご参照ください.
鎮痛状態については,現在までにさまざまな研究が行われていますが, 現時点までに広く利用されている鎮痛度指標はありません. 我々も「バランス麻酔における 鎮痛度制御の研究」で研究を行いましたが, 現在でも信頼性の高い方法は開発できていません. 現在は,より多くの指標に基づいて鎮痛状態を把握する方法を 開発することを目指して研究を行っています.