森下 政夫Masao Morishita

教授|博士(工学)

[mail] morisita@eng.u-hyogo.ac.jp

応用化学工学科 化学工学コース
化学工学専攻 熱化学研究グループ

教育面では、「物理化学」や「化学熱力学」の科目を担当し、絶対零度付近から高温まで、固体から水溶液中イオンまで、多岐に渡る熱力学諸量を決定した研究歴に基づき、類をみない研究活動に立脚した教育を実践してい来す。「新概念の着想は熱力学から」を合言葉にする集団として、研究グループ名を冠しています。

夢の水素貯蔵物質固体アンモニアの発見と発明

学べる内容・身に付くスキル

低温固体アンモニアを「夢の水素貯蔵物質」として常温常圧にもちきたらす挑戦を通じて新物質の発明方法やその学理を学ぶことができます。

本来低温のマイナス78℃以下で存在する固体立方晶アンモニアを常温常圧にもちきたらすことにより、安心安全な水素貯蔵物質の実現を目指しています。常温常圧では危険な気体アンモニアを蒸気圧の低い固体に転換する世界で初めての研究に挑戦しています。今年5月23日、偶然、アンモニアが室温で固体になることを「発見」し、また、固体アンモニアからは水素のみが放出されることを「理論予測」し、この新物質を「夢の水素貯蔵物質」として社会実装する「発明」を目指しています。奇跡への期待が現実になろうとしています。

磁力を用いた水素生成反応の促進

学べる内容・身に付くスキル

磁性体を用いた水素生成反応の促進を研究することで、新概念を発想し、確立する過程を学ぶことができます。

水素が「磁石」の性質をもつことに着眼し、磁性体触媒を用いて効率よくクリーンエネルギー水素を生成する研究を行っています。水素のエネルギー密度はガソリンの3000分の1しかなく、水素をアンモニアなどの化合物にして貯蔵し、触媒を使って必要なときに水素を取り出す研究をしています。高価な貴金属である白金と似た電子軌道をもつタングステン炭化物の格子中に強い磁石の性質をもつコバルトナノ結晶を加えたところ、白金と同等の速さで水素を生成できることを発見しました。安価な水素生成触媒として社会実装を目指しています。