山本 拓司Takuji Yamamoto

教授|博士(工学)

[mail] tyamamot@eng.u-hyogo.ac.jp

応用化学工学科 化学工学コース
化学工学専攻 環境化学プロセス研究グループ

化学プロセスで消費されるエネルギーのうち,製品の分離・精製工程が30%を占めると言われており,社会の持続的発展のためには分離プロセスのさらなる高効率化・省エネルギー化が不可欠です。私たちの研究室(環境化学プロセス研究グループ)では和気あいあいとした雰囲気づくりを日々心掛けつつ,晶析・吸着・ろ過・膜材料などの分離プロセスに関する研究を通じて,学生の皆さんと共に化学の限界を追求しながら,脱炭素社会の実現を目指しています。

融液晶析による脂肪酸混合物の分離・精製

学べる内容・身に付くスキル

研究室ではラボスケールのコンパクトな融液晶析装置で晶析操作を学べます。装置の構造や機能に関する理解を深め,操作に習熟していくことで,ケミカルエンジニアとして必要なスキルやセンスを身に付けられます。

融液晶析とは冷却面での融液の凝固(結晶化)に伴う組成の変化を利用して,物質を結晶化させて分離・精製するための操作です。私は回収しやすい層状の結晶を効率良く得ることを目的として,内管と外管から構成される二重円管型装置を用いた融液晶析を研究しています。この装置ではテイラー渦流とよばれる特異な流れ場が生じますが,結晶層の形成過程に及ぼすテイラー渦流の影響について,数値モデルに基づく計算機実験を並行して進めながら研究しています。バイオ燃料の原料物質の精製や,メタン発酵の高効率化などの応用を目的としています。

フェノール樹脂系吸着剤の合成と性能評価

学べる内容・身に付くスキル

化学物質の物性に関する知識,化学物質から吸着剤を合成するためのスキルに加えて,吸着性能を評価するための方法を習得できます。

吸着とは多孔体の細孔の表面に物質が濃縮される現象で,有価物の回収や汚染物質の除去に活用されています。私は主に水中の汚染物質の除去を目的として,フェノール樹脂の一種である吸着剤の創製と,その液相系における吸着性能評価に関する研究を実施しています。フェノール樹脂を合成する際の反応を詳細に調べた結果,吸着剤を合成する際の条件を最適化することで,水中のセシウムイオンに対する吸着性能を先行研究に比較して大きく向上させることができました。この吸着剤は重金属イオンの回収などにも応用できると考えています。