SPring-8での実験
はじめに

今回、2006(B)期での実験に申請し、SPring-8で6シフト(48時間)に及ぶ実験が可能になりました。ビームラインは植物分析の実績が数多くあるBL37XUを利用しました。測定する試料は、私たちが新たに鉛蓄積性を見出したシダ植物シシガシラ(Blechnum niponicum)です。


目的

ラボスケールの実験で、シシガシラは鉛を維管束や葉脈に蓄積することが既に判明しています。そこで、今回は放射光マイクロビーム(μ-XRF・μ-XANES)を利用して、細胞レベルで鉛の蓄積部位や化学状態を分析し、生理機構を追跡します。


実験の様子

最後に

今回の実験で、水分の通路に鉛が蓄積することがわかりました。このことから、シシガシラは根から土壌中の鉛を水溶液として吸収し、蒸散流で末端部まで輸送されるものと考えられます。また、μ-XANESから、鉛の化学状態については興味深いことに、根と地上部で変化していることが判明しました。


感想

世界最高性能を誇るSPring-8での測定という大変貴重な体験ができました。