〜どんな研究をしているか〜
固体物質の表面やそこに形成される薄膜は、物質の内部とはまったく異なった組織や
性質をもつ場合があります。この特徴を理解し、それをうまく利用することによって、 これまでにない新しい性質をもった新材料の開発が可能となります。 また、物質の表面は、大気、光、海水などの自然環境や化学物質と
直接に接する所です。このため、表面は、環境が物質に及ぼす影響や触媒による反応制御などを考えていく上でも重要です。身近な例では、自動車や橋梁の耐環境性、太陽電池や化学電池などのエネルギー変換、触媒による排ガス浄化などで鍵となる働きをしています。当研究室では、無電解めっきを中心とした薄膜の化学的製造プロセスや
半導体などの表面処理プロセスと固体表面の諸性質の関係を調べ、 21世紀の科学技術の発展に寄与できるような材料開発とエネルギー変換を 目指した研究を行っています。
〜どのように役立つか?〜
次のようなものへの実用化を目指した研究を行っています。
エレクトロニクスの分野 |
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磁気ディスク・磁気ヘッド材料 |
極めて高い記録密度をもつ磁気記録媒体の作製 |
電気接点材料 |
安価で生産性と信頼性の高い接点作製法の開発 |
磁気センサ材料 |
高感度な磁気センサ材料の新しい製造方法の確立 |
半導体用配線 |
シリコン上への高信頼性無電解めっきパターンの形成 |
環境・エネルギーの分野 |
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太陽エネルギーの変換 |
低コストかつ高効率な太陽電池の開発 |
資源のリサイクル |
ゼロエミッション無電解めっきや貴金属リサイクルプロセスの開発 |
〜最近の主な研究テーマ〜
(1) 機能性薄膜の力学的特性に関する研究 〜内部応力と密着性〜
(2) 単結晶シリコン上の初期析出膜の構造と物性
(3) 金属材料の水素吸蔵と水素の存在状態に関する基礎研究
(4) めっきプロセスにおける水素移動に関する研究
(5) アモルファスおよびナノ結晶合金めっき膜中の水素の存在状態
(6) Ni-Fe合金電析膜の電磁気特性に及ぼす水素の影響
(7) 金属薄膜中の低温固体拡散
(8) 電子デバイス用Au薄膜の微細構造解析
(9) 次世代超高密度垂直磁気記録媒体用Co-Pt電析膜のナノ構造制御
(10) ゼロエミッションリサイクル無電解めっき
(11) Pt電気化学析出の初期過程
(12) シリコン上への貴金属微粒子の無電解置換析出過程
(13) 金属微粒子援用HFエッチングによるシリコンナノ構造構築
(14) 金属ナノ粒子を用いる新信頼性無電解めっき膜形成
(15) 高効率エネルギー変換を目指したシリコンの湿式微細加工
(16) 原子レベルで規制されたシリコン表面での触媒形成と太陽電池特性
(17) 貴金属の新規リサイクルプロセス