哺乳動物（ヒト）のタンパク質合成系に関する基礎研究とその応用を進めている。タンパク質は生命活動を担う中心物質であるが、その研究にはタンパク質を効率よく合成できる技術を磨く必要がある。我々はこれまでヒト細胞抽出液から試験管内タンパク質合成系を開発してきた。しかし、このシステムには未知物質が多く含まれているため、ブラックボックスで合成を行っているに過ぎない。そこで、タンパク質合成に必要な因子をすべて精製品として揃え、試験管内で再構成することにより、完全再構成型ヒトタンパク質合成系の開発を行っている。それを利用して、例えば、ヒトに感染するウイルスを合成し、その合成メカニズムを理解し、抗ウイルス剤の開発に結び付けたい、と考えている。また、多くの重要なタンパク質は複合体を形成している。そこで効率よくタンパク質複合体を合成する方法の開発も行っている。進行中の研究テーマは以下のとおりである。
（１）ヒト由来完全再構成型タンパク質合成系の開発
（２）ヒト細胞抽出液由来タンパク質合成系の改善
（３）試験菅内ウイルス合成
（４）人工ウイルス合成
（５）高効率タンパク質複合体システムの開発