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教員詳細

小橋 昌司 [こばし しょうじ]
准教授|博士(工学)
メールアドレス kobashi@eng.u-hyogo.ac.jp
小橋 昌司

研究テーマ:医療画像認識

 病院などの医療機関で,MRI装置,CT装置,単純X線装置(通称レントゲン)などで,画像撮影された経験をお持ちの方は多いと思います.本研究グループでは,それらの画像(医用画像と呼びます)を,コンピュータで自動解析し,医師の診断の補助,患者様の病状理解の補助,手術支援などを行う,計算機アルゴリズムの研究開発を行っています.究極の目標は,全身のMRI画像を撮影し,コンピュータが全自動解析し,微小な病変の早期発見や,病気発症する前の微小な変化を早期検出するシステムの構築です.これにより,例えば年1回の検診で全身MRI画像を撮影し,血液検査などのほか検診データも含めて,コンピュータが健康管理することを夢見ています.
 上記のような先進的な画像解析を可能とするため,本研究グループでは,医師の知識に注目した「知的医用画像解析」アルゴリズムの提案を行っています.画像処理と医用画像処理の大きな違いは,画像に対する「医師の知識」の有無です.たとえば,大脳を構成する右脳,左脳とは,右にある脳半球なので「右脳」,左にある脳半球なので「左脳」であると定義できます.すなわち,画像処理にそれら解剖学的知識を導入することが,医用画像処理には必須です.私たちはそれら知識をファジィ論理を主とするソフトコンピューティング技術で表現することで,知識を医用画像処理に導入した知的医用画像処理を研究しています.以下にその一例を紹介します.
 脳動脈流の破裂は,くも膜下出血の最大原因であり,生命へ危険を及ぼしたり,重篤な後遺症を残す場合が多い.特に,無症候性未破裂動脈瘤は自覚症状がないため,突然に破裂し重篤に至る場合も多い.これらの未破裂動脈瘤の発見にはMRI装置による血管撮像(MRA; MR angiography)が有効ですが,撮像枚数が多く,さらに小さな動脈瘤を検出するには多大な労力が必要な事から,十分な活用がされていません.本研究では,頭部MRA画像から血管領域を自動抽出,立体表示を行うことで動脈瘤検出支援を行うと共に,動脈瘤候補の自動検出手法を提案します.
 まず,脳血管の場所や形状,他脳実質との輝度値の違いなどの知識を埋め込んだ知的画像解析により脳血管を自動抽出します.次に,抽出された脳血管と,自動推定した正常血管形状モデルとの差分を求めることで,脳動脈瘤候補領域を求めます.脳動脈瘤候補領域は,真に動脈瘤である候補と,偽に動脈瘤である候補が含まれます.そこで,各候補領域に対して事例ベース推論や人工ニューラルネットワークによるパターン識別を行うことで動脈瘤である度合いを算出することで,脳動脈瘤を自動検出します(図1:動脈瘤候補識別結果).さらには,頭部MR画像からの脳領域,頭部CT画像からの頭蓋骨領域との合成(図2)を行い,手術計画支援,インフォームドコンセント,医師の教育などに役立てています.