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教員詳細

岡井 大祐 [おかい だいすけ]
助教|工学博士
メールアドレス okai@eng.u-hyogo.ac.jp
岡井 大祐

研究テーマ:鉄の集合組織制御

 金属材料がもつ固有の特性を最大限に活用するために,結晶粒の結晶配向制御が広く行われています。我々は鋼板の大量生産を可能にする圧延と熱処理を組み合わせたプロセスにより、鉄(純鉄および電磁鋼板)の圧延再結晶集合組織の組織制御に関する研究を行っています。
 軟磁性材料である鉄は磁化に異方性を有しています。<001>軸方向が最も磁化しやすく、<011>軸方向、<111>軸方向の順番に容易磁化方向となります。鉄板の各結晶粒の配向面、配向方向を揃えることで、鉄の磁化特性を最大限に引き出すことができます。現在、図1(b)の{110}結晶粒に注目した{110}<001>配向電磁鋼板が変圧器の鉄心材料として用いられています。一方、図1(a)の{100}結晶粒に着目した{100}<001>配向電磁鋼板を変圧器の鉄心に用いることで、低鉄損な変圧器(電気エネルギーと磁気エネルギーのエネルギー変換効率のアップ)が可能となります。また面内無配向{100}電磁鋼板({100}<0vw>配向電磁鋼板:図1(a)の{100}結晶粒が板面内で均一に360°ランダムな方向を向いている電磁鋼板)をモーターの鉄心に用いることで、低鉄損なモーターが可能となります。燃料電池自動車/電気自動車/ハイブリッド自動車の駆動用モーターの鉄心に面内無配向{100}電磁鋼板を用いることで、モーター効率の改善(燃費改善)が可能となります。図2は自動車用モーターの構造を示しています。モーターでは、運動エネルギー、電気エネルギー、磁気エネルギーが密接に関係しており、電気エネルギーと磁気エネルギーの変換に電磁鋼板が重要な役割を果たしています。近年、内燃機関を駆動力源にしたガソリン自動車からモーターを駆動力源とした脱ガソリン自動車へのシフトが加速しつつあります。モーター駆動自動車の航続距離の延伸のために、現行のリチウムイオン電池(LIB)に比べ、①エネルギー密度の高い全固体LIB、②新原理による革新型蓄電池等の自動車搭載用蓄電池の研究開発が行われていますが、高効率な自動車搭載用モーターのための材料開発を進めることは航続距離の延伸に寄与します。
 このように鉄の集合組織制御から生み出される電磁鋼板は低炭素社会の実現に大きく貢献することが期待されています。

  • 図1 鉄板での結晶配向面

    図1 鉄板での結晶配向面

  • 図2 自動車用モーターの構造と鉄心

    図2 自動車用モーターの構造と鉄心