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教員詳細

内海 裕一 [うつみ ゆういち]
教授|博士(工学)
メールアドレス utsumi@lasti.u-hyogo.ac.jp
内海 裕一

研究テーマ:医療診断・環境分析に向けた全自動バイオマイクロシステムの研究

 放射光による高アスペクト比微細加工によって、3次元的なマイクロ流路の結合が可能となり、機能集積型の高性能マイクロ化学システムの実現が期待できます。本研究室では従来のマイクロ化学システムを高機能化、集積化するために、垂直化学操作型のマイクロ分析システムを提案し、高感度かつ迅速な酵素免疫測定(ELISA 法)を実現してきました。 しかし、熟練者のスキルに依らない迅速性と定量性を実現するためには、システムの自動化が必須となります。本研究室では、3次元流路を用いた積層型Lab-on-a-CD を提案し、酵素免疫測定の全化学操作(フルプロトコル)をオンチップで行なうことを試みています。新規提案のマイクロTASプラットフォームは、遠心力駆動による三次元流体の挙動を利用することにより、効率の良い混合・反応や高感度な光学検出が期待できます。また遠心分離によって血球などの試料の分離、抽出を行う前処理も同一ディスク上で可能となりELISA のプロトコルの全自動化が期待できます。このLab-on-a-CDを試作し、回転駆動・制御系、光学検出系と共にシステム化(図1)した結果、回転数の制御のみによってELISAプロトコルに対応する連続単位化学操作のための逐次的送液が精度良く(各ステップ開始の回転数ばらつき<50rpm)制御できる事を検証しました。さらに、実際の分析性能の検証例として、濃度の異なるマウス免疫グロブリンGを6検体同時にサンドイッチELISAにて測定することに成功しました(図2)。特に、ELISAの連続的単位化学操作における各洗浄工程をオンチップ化することにより、この測定ではディスクの回転数を1500rpmまで5段階に逐次制御するのみでELISA測定の全操作を実現し、0.5ng/mlという高い測定感度を得ました(Yoshiaki Ukita, Saki Kondo, Tsukasa Azeta, Masaki Ishizawa, Chiwa Kataoka, Masahiro Takeo, Yuichi Utsumi, Sensors and Actuators B: Chemical, 165, (2012))。
 一方、癌などの腫瘍マーカーの血中濃度は癌細胞の増殖に応じて増えることが知られています。高精度な超微量検出を安定して行うことにより、従来検出し難かった種類の癌も早期に発見が可能となります。また、炎症マーカーについても高感度な微量検出が可能になると、治療後の予後の精密な把握が可能となります。検査速度に関しては、数分~数十分以内に短縮すれば患者の診察時に疾病の罹患が判断できると考えています。

  • 図1 検査システム

    図1 検査システム

  • 図2 マウスIgG 吸光度の濃度依存性(ng/ml

    図2 マウスIgG 吸光度の濃度依存性(ng/ml)