我々の研究グループでは,ラーベス相と呼ばれる金属間化合物の磁気的性質を磁化測定と核磁気共鳴をおもな実験手段として研究しています.

 ラーベス相金属間化合物はA,B二元合金系のAB2組成で形成される金属間化合物で,A,B元素として希土類元素や遷移元素を含むものが多く磁性研究の対象として重要です.私たちの講座では,遷移元素を主成分とするラーベス相,なかでもB元素を鉄としたAFe2化合物を中心に研究をしています.単体としての鉄は代表的な強磁性体ですが,AFe2化合物では,A元素の種類によってその磁性が強磁性,反強磁性,常磁性と変化します.

 さらに,AFe2のFeやA元素の一部を他の元素で置き換え,(A1−xA'x)Fe2やA(Fe1−xBx)2のような擬二元系をつくれば,xを変えることで磁性の変化をコントロールできるだけでなく,強磁性と反強磁性の共存,強磁性と反強磁性の間の相転移など,興味深い現象も現れます.





ラーベス相金属間化合物
  ラーベス相金属間化合物は金属間化合物の中で寸法因子化合物の一種で,Lavesによって発見された.大きさの異なる2種類の原子で,大きな原子Aと小さな原子Bの原子半径比が1.225:1に近いとき,AB組成で形成される.また,ラーベス相金属間化合物にはC-14,C-15,C-36構造があり,それぞれ六方晶,立方晶,二重六方晶構造をしている.



C-14構造       C-15構造        C-36構造
直線上に配置