カーボンニュートラルの達成に向け、省エネルギー化が求められる一方で、AIや半導体技術の急速な進展にともない、エネルギー消費量は増加の一途をたどっています。このため、熱エネルギーを効率的に活用するための技術が強く求められています。本研究では、熱マネジメントの鍵となる熱交換器の性能を飛躍的に向上させることを目指します。
積層造形技術を活用し、熱交換器の性能向上が期待される新しい流路構造を実現しています。また、伝熱性能に関する実験データベースを構築し、次世代熱交換器の設計に必要な基礎データを提供します。
熱交換器は、AI・半導体分野でのエネルギー消費量の増加や、輸送機器の電動化推進により、熱マネジメントにおいてますます重要な役割を果たしています。これまでにもさまざまな伝熱促進手法が試みられてきましたが、金属積層造形技術の進展により設計の自由度が大幅に向上し、新たな伝熱促進技術の開発が可能となりました。
三重周期極小曲面(Triply Minimal Periodic Surface, TPMS)と呼ばれる特殊な構造を熱交換器に適用する技術を開発しました。この技術を用いて、ステンレス鋼製の熱交換器を積層造形し、伝熱性能に関わる実験データの取得を進めています。特に、数値流体解析では取得が困難な気液二相流の圧力損失データを実験的に取得することに成功しており、TPMS構造を用いた熱交換器の設計データベースの構築を進めています。
本研究は、電気自動車の熱マネジメント機器の小型化、空調や熱回収システムに用いられるヒートポンプの高効率化などの応用研究に結びつく可能性があります。
研究情報 | ||
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ジャーナル | International Journal of Multiphase Flow | |
タイトル | Experimental investigation on pressure drop characteristics of adiabatic two-phase flow in a Gyroid-structured channel | |
著者 | Tomoki Hirokawa, Hajime Miyata | |
メンバー | 廣川智己(工、機械工学) | |
URL | https://doi.org/10.1016/j.ijmultiphaseflow.2024.104982 | |
報告学会、展示会等の情報、 その他関連情報 | 日本伝熱学会、日本冷凍空調学会、日本機械学会 |