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[ものづくり]

圧延による金属板の集合組織制御

大学院工学研究科 材料・放射光工学専攻 助教 岡井 大祐

高効率な変圧器、モーターなどに不可欠な電磁鋼板のニーズが高まっています。我々は、低損失な電磁鋼板の作製研究に取り組んでいます。

圧延により結晶配向制御した{100}方位(Cube方位)配向鉄板を開発しました。この結晶配向技術を用いることで、低鉄損な二方向性電磁鋼板の開発につながる可能性があります。

背景

世界中で電力需要が高まっており、日本では内燃機関で走る自動車を電気自動車(BEV)に置き換えた場合、夏の電力ピーク時の電力不足が指摘されています。それゆえ、国内の発電能力を今以上に増やす必要があります。電力送電網は送電線、変電所、配電線から構成されており、電力送電には変圧器が不可欠です。電力送配電では、変圧器、送電線においてエネルギー損失が生じています。変電には変圧器が不可欠で、現在の変圧器には一方向性電磁鋼板({110}方位(Goss方位)配向電磁鋼板)が使用されています。二方向性電磁鋼板(Cube方位配向電磁鋼板)を用いた変圧器は、変電所での損失を抑制し、生み出した電気を効率よく利用することができます。

詳細

圧延法により作製される鉄板の優先方位は(111)です。我々の結晶配向技術を用いることで鉄板をCube方位に結晶配向させることができます。結晶をCube方位配向させた二方向性電磁鋼板を変圧器の鉄心に用いることで、変圧器でのエネルギー損失を抑制できます。これにより生み出した電力の有効利用が可能となります。

展望

具体的には、低損失な電磁鋼板の開発、より高効率な変圧器の開発、より高効率なモーターの開発といった研究に結びつくと考えられます。

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大学院工学研究科 材料・放射光工学専攻 助教 岡井 大祐

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https://researchmap.jp/read0053952

研究者情報

研究情報
ジャーナル MATERIALS TRANSACTIONS (Mater. Trans.)
タイトル EBSD Observation of Pure Iron with Near-Cube Orientation Fabricated by Cold Rolling and Annealing
著者 Daisuke Okai, Masatoshi Yae, Atsushi Yamamoto, Toshiya Doi
メンバー 岡井大祐(工、材料組織学)
URL https://doi.org/10.2320/matertrans.M2016443

研究者マップ

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