最先端の半導体微細加工には、波長13.5 nmのEUV光が用いられています(EUVリソグラフィー)。わずか10数ナノメートルの半導体微細回路を加工するためには、感光材料であるフォトレジスト※(1)の性能向上が不可欠です。放射光を活用し、レジストの性能評価や、レジスト材料の高性能化につながる要因を探索しています。
放射光を活用して、EUVリソグラフィー用のレジストの性能評価や化学分析を行っています。評価結果をフィードバックしたモデルレジストの合成も行っています。
パソコンやスマホといった電子デバイスはコンピュータ制御されています。コンピュータは無数の回路の集積体であり、高性能化の一つに回路の搭載数を増加する方法があります。そのためには回路の線幅を微細化する必要があり、今後は10nm以下(髪の毛の1/1000ほど)の大きさが要求されています。回路は、半導体基板上に成膜されたレジストに光を使って描画されるので、このレジストの性能向上が急務となっています。
レジストの化学反応解析のために、モデルレジストを合成しました。このレジストに、兵庫県立大が所有する放射光施設「ニュースバル」を用いてEUV照射し、レジストの感度特性を評価しました。露光部が現像後に不溶化するネガ型レジストとして機能したサンプルについて、さらに軟X線分析することで、EUV照射時の化学反応機構の推定を行いました。放射光分析をうまく活用することで、レジスト※(1)の開発を促進することができます。
次世代の半導体微細加工技術で必要とされる、10nm以下の微細パターンで高解像なレジストや、サステナブルなレジスト材料の分子設計指針を提案します。
研究情報 | ||
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ジャーナル | Journal of Photopolymer Science and Technology 36, 47 (2023); DOI: 10.2494/photopolymer.36.47 | |
タイトル | Characterization of Photoacid Generator Bound Resist with X-ray Absorption Spectroscopy at NewSUBARU | |
著者 | S. Yamakawa, T. Harada, K. Nakanishi, T. Watanabe | |
メンバー | 山川進二(高度研)、原田哲男(高度研)、中西康治(高度研) | |
URL | https://www.jstage.jst.go.jp/article/photopolymer/36/1/36_47/_article | |
報告学会、展示会等の情報、 その他関連情報 | International Conference of Photopolymer Science and Technologyで報告(URL: https://www.spst-photopolymer.org/icpst-photopolymer-conference/) |