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[ものづくり]

次世代パワー半導体デバイスを活用した
高周波電源回路の開発

大学院工学研究科 電気物性工学専攻 助教 大里 辰希

近年、SiCやGaNを用いた次世代パワー半導体素子の登場により、電源回路の高周波化が進められています。しかし、高周波化に伴いスイッチング損失が増加します。本研究では、ある回路モデルに対して解析式を構築し、ソフトスイッチング技術および負荷非依存動作を満足する回路パラメータを導出します。

ソフトスイッチング技術を達成するE級回路は、高周波環境下では高い電力変換効率を実現する。しかし、負荷変動が生じた場合、ソフトスイッチングが失われ回路特性が著しく低下します。このような背景の中で負荷非依存動作が着目されています。負荷非依存E級コンバータの解析式を導出することで、回路特性を可視化し、最適な回路パラメータを求めることができます。

背景

電源回路は身の回りにある電子機器にとって必要不可欠な回路です。近年、MHz帯の動作周波数で駆動することにより小型・軽量化が図られていますが、スイッチング損失が増加し電力変換効率が低下するデメリットもあります。ソフトスイッチング技術を適用することで、損失を大幅に低減できます。一般的にソフトスイッチングを達成する回路パラメータを導出することは困難ですが、独自の解析技術を用いて最適な回路パラメータの導出を可能にしました。

詳細

スイッチング損失は、スイッチング時にスイッチ素子に流れる電流と印加されるスイッチ電圧で決まります。ソフトスイッチング技術を適用することで、スイッチング時のスイッチ電圧を零にし、損失を大幅に低減できます。E級回路はソフトスイッチングを達成できることから、動作周波数がMHz帯においてもスイッチング損失の影響をほとんど受けません。しかし、負荷が変動すると回路特性が著しく低下します。このような背景をもとに、負荷非依存動作が注目されています。負荷非依存動作は負荷変動に対して、ソフトスイッチングと一定の出力電圧を同時に満足します。ソフトスイッチングや負荷非依存動作を満足する回路パラメータを導出するためには、素子値の組み合わせを厳選する必要があります。解析式を用いることで、複雑な条件においても素子値を求めることができ、設計コストを大幅に軽減できます。また、2次元空間上に回路特性を描くことで回路特性を可視化できるため、直感的に理解することができます。

展望

今後は、高電圧・高周波においてソフトスイッチングを満足し、さらに誘電体バリア放電プラズマ負荷のような、負荷が純抵抗以外の場合においても負荷変動において依存しない回路の設計手法を提案し、その解析式の確立を目指します。

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大学院工学研究科 電気物性工学専攻 助教 大里 辰希

researchmap
https://researchmap.jp/tatsukiosato

研究者情報

研究情報
ジャーナル 電子情報通信学会論文誌B
タイトル 負荷非依存E級同期整流器の解析と設計
著者 大里 辰希,アスヤ,魏 秀欽,朱 聞起,グエン キエン,関屋 大雄
メンバー 大里 辰希

研究者マップ

兵庫県立大学工学研究科が提供できる最先端の研究成果・高度な技術リソース/ノウハウなどをご紹介します。共同研究や受託研究や技術相談などを通じて、新しいアイデアや技術を共に生み出し、未来を共創するパートナーをお待ちしております。

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