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[ものづくり]

両親媒性分子の自己組織化と
形態制御による機能性材料開発

大学院工学研究科 化学工学専攻 助教 田口 翔悟

リン脂質膜をはじめとする分子集合体を用いた機能性膜材料の開発を行っています。生体膜の主な構成分子である両親媒性のリン脂質から成る分子集合体は医薬品分野のほか、反応・吸着・晶析を行うソフトマテリアルとしての活躍が期待されています。

評価手法として、低濃度の分子集合形態の物性評価を用いており、これ基づいた分子集合形態制御が可能です。

背景

分子集合体を用いた機能性材料は医薬品分野での使用を目的に盛んに研究開発が進められています。また、分子集合体の集合構造を利用した多孔質微粒子の合成など、幅広い分野で貢献しています。水溶液中に形成される分子集合体はその構成分子や温度、共存する対イオンなどの影響によって様々な形態となり、これを制御することで機能性材料の作製が期待できます。

詳細

私は長鎖の脂質と短鎖の界面活性剤から成る二分子膜分子集合体の形態不安定性に着目した膜材料開発を行っており、ヒトの消化プロセスから発想した脂肪酸を原料とした分子集合体の応用のために分子集合形態制御に取り組んでいます。評価手法として特に低濃度での物性評価手法を用いています。分子集合体が希釈されると、分子集合体から脂質等の脱着およびその形態や内部物性の変化が起こります。これは内包する薬剤等の保持・放出速度の制御に影響を与えるため、この物性評価手法が適していると考えます。また、動的光散乱法による粒子径分布計測、蛍光プローブ分子を用いた分光学的評価が可能であり、1 mM以下の低濃度の分子集合体の分子間パッキングや内部の流動性についても評価ができます。また、幅0.6 mm程度の簡易なマイクロ流路作製が可能であり、これを用いた分子集合体の連続調製が可能です。

展望

具体的には、脂質ナノ粒子などの薬剤固定化担体の連続調製、分子集合体をテンプレートとした多孔質微粒子の合成といった研究に結びつくと考えられます。

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大学院工学研究科 化学工学専攻 助教 田口 翔悟

researchmap
https://researchmap.jp/shogo_taguchi

研究者情報

研究情報
ジャーナル Journal of Oleo Science, 73(6), 887-894 (2024); doi.org/10.5650/jos.ess24006
タイトル Concentration of Diynoic Acids in Bicellar Mixtures Derived from Those Phase Separation
著者 Shogo Taguchi, Soh Hamanishi, Hiroshi Satone, Takuji Yamamoto
メンバー Shogo Taguchi, Hiroshi Satone, Takuji Yamamoto
URL https://doi.org/10.5650/jos.ess24006

研究者マップ

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