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[ものづくり]

持続可能な食と農の未来を切り拓く ~キャビテーションプラズマ殺菌水による植物病害の革新的防除~

大学院工学研究科 電気物性工学専攻 准教授 岡 好浩

水とプラズマの力で切り拓く、持続可能な農業・医療・衛生ソリューション

世界人口の増加による食糧需要の増加や、気候変動がもたらす農業病害の拡大を背景に、従来の化学農薬に依存しない持続可能な病害防除技術の確立を目指しています。私たちは独自に開発したキャビテーションプラズマ技術を用い、水を原料として活性酸素種および金属ナノ粒子を含む殺菌水を生成します。この殺菌水は、主要な農作物病害に対して、化学農薬と同等レベルの防除効果を示すことが確認されています。さらに、原料が水であるため、安心・安全な防除手法です。

背景

近年、食料の安定確保と環境負荷の低減を両立させることが世界的に重要な課題となっています。人口増加による食糧需要の増大や気候変動による農業病害の拡大により、従来の化学農薬への過度な依存が進み、環境汚染や耐性菌の発生リスクが高まっています。日本の「みどりの食料システム戦略」やEUの「Farm to Fork戦略」では、化学農薬リスクを50%削減する目標が掲げられており、持続可能な農業への転換が急務となっています。金属イオンタイプのキャビテーションプラズマ殺菌水は、複数の植物病原菌に対して高い防除効果を示し、5カ月以上の持続性も実証されています。この技術は、将来的には医療や公衆衛生分野への応用も期待される革新的な技術です。

詳細

本技術は、キャビテーション現象により発生した多数の微小気泡を含む溶液中で、電極間に高繰り返しの高電圧パルスを印加して放電させることで、低温プラズマを効率的に生成します。この過程で過酸化水素および放電電極由来の金属ナノ粒子が生成され、これらを含む殺菌水を生成します。防除効果試験では、既存の環境配慮型農薬を上回る80%以上の防除効果が確認されています。また、製剤化技術の開発により、農作物表面での付着性および浸透性の向上にも成功しています。また、高い安全性が実証されています。装置の自動化や生成プロセスの最適化を進めることで、大量生産と農業現場での即応性を両立させ、商用レベルの使用量に対応した殺菌水生成装置の開発を進めています。さらに、地域の有機農業生産者と密接に連携し、現場のニーズを反映した製品改良を継続しています。

展望

今後は技術の改良および農薬登録取得に向けたデータ蓄積と各種試験を完了させ、2027年には連続稼働可能な装置の試作、29年には量産化装置の開発を進める計画です。31年からは、本格的な農業用殺菌剤として製品展開を目指し、有機農業をはじめ慣行農業市場への普及を加速させます。さらに、欧州市場における銅系殺菌剤の代替としての展開や、東南アジアなどの高温多湿地域での利用に向けた開発も視野に入れています。また、医療・公衆衛生や食品衛生分野など多様な領域での応用を目指しています。こうした社会実装を推進するため、兵庫県立大学発スタートアップ企業である株式会社YSH総合研究所(代表取締役社長 岡 好浩)を自ら設立し、大学の研究シーズを基盤に技術の実用化と事業化を継続的かつ効率的に推進する体制を整えています。

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大学院工学研究科 電気物性工学専攻 准教授 岡 好浩

researchmap
https://researchmap.jp/YoshihiroOka

研究者情報

研究情報
ジャーナル Discover Plants
タイトル Effect of Discharge Electrode Material on Germination of Radish Sprout using Cavitation Bubble Plasma Treated Water
著者 K. Kawano, S. Nukina, K. Eguchi, T. Okano, N. Shibutani, and Y. Oka
メンバー K. Kawano, S. Nukina, K. Eguchi, T. Okano, N. Shibutani, and Y. Oka
URL https://link.springer.com/article/10.1007/s44372-025-00349-3?utm_source=rct_congratemailt&utm_medium=email&utm_campaign=oa_20250914&utm_content=10.1007%2Fs44372-025-00349-3
特許情報
文献番号 特許第7397430号
出願番号 特願2022-528862(PCT/JP2021/020982)
出願日 2021/6/2
公知日 2021/12/9
発明の名称 殺菌用液体及びその生成方法
優先権主張国 日本、米国、欧州
出願人 兵庫県立大学、大日製作所
発明者 岡 好浩、橋本 智裕
備考 優先日:2020年6月2日
共同・受託 研究実績
期間 2014年~
テーマ キャビテーションプラズマ技術、キャビテーションプラズマ殺菌水に関するテーマ
相手先 日本スピンドル製造、住友重機械工業、大日製作所、キリンHD、義山農園、OHANA農園、兵庫県立工業技術センター、兵庫県立農林水産技術総合センター、大阪医科薬科大学、福知山公立大学、東京科学大学
予算 100万円~
報告学会、展示会等の情報、 その他関連情報 【学会】
電気学会全国大会:毎年、電気学会A部門大会:毎年
【展示会】
大学見本市~イノベーション・ジャパン~:2016~2018、2020~2025年、マッチングイン姫路:2018、2022~2025年
【イベント】
第3回Challenge万博『いのち輝く未来社会』へ:2023年、Challenge万博2024:2024年、アグリテックグランプリ2023:2023年、共創イノベーション in 京都経済センター:2023年、関西テックプランターグランプリ:2024年

研究者マップ

兵庫県立大学工学研究科が提供できる最先端の研究成果・高度な技術リソース/ノウハウなどをご紹介します。共同研究や受託研究や技術相談などを通じて、新しいアイデアや技術を共に生み出し、未来を共創するパートナーをお待ちしております。

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