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[エネルギー]

イオン液体を基盤とした次世代エネルギー材料とバイオマス高分子の研究開発

大学院工学研究科 化学工学専攻 准教授 柿部 剛史

イオン液体の難揮発性・難燃性・広い電位窓といった特性を活かし、リチウムイオン二次電池向け電解質材料を設計するとともに、セルロースをはじめとする天然高分子の溶解や化学修飾に応用しています。エネルギーとバイオマス利用の両面から、持続可能社会に資する環境調和型材料の創出を目指しています。

次世代エネルギー貯蔵材料およびバイオマス由来高分子材料の開発を目的とした研究を行っています。特にイオン液体を基盤としたリチウムイオン二次電池向け電解質材料の設計を中心に展開してきました。イオン液体は難揮発性・難燃性・広い電位窓といった特性を有し、従来の有機溶媒系電解液の限界を克服し得る材料です。また一方で、セルロースをはじめとする天然高分子を溶解できることから、この特異な溶媒機能を活用したバイオマス誘導体の分子設計や新規機能性材料の創出にも取り組んでいます。これらの研究を通じて、エネルギー分野とバイオマス利用の両側面から環境調和型材料を開発し、持続可能社会の実現に貢献することを目指しています。

背景

化石燃料依存からの脱却と再生可能エネルギーの利用拡大に伴い、エネルギー貯蔵技術の革新は喫緊の課題です。リチウムイオン電池は広く普及しているものの、さらなる高エネルギー密度化や安全性の向上が求められています。しかし従来の有機溶媒系電解液は可燃性や分解性に起因するリスクを抱えており、新規の電解質材料の開発が必要です。一方、地球上に豊富に存在するセルロースをはじめとするバイオマス資源は、持続可能な材料開発の観点から注目されていますが、その強固な水素結合性により利用が制限されてきました。イオン液体は、高安定性と特異な溶媒能を兼ね備え、これら二つの課題を同時に解決できる可能性を持つことから、研究対象として非常に注目しています。

詳細

研究は大きく二つの軸で進めています。一つ目は、イオン液体を基盤とした電池電解質の開発です。種々のイオン液体、とりわけ重合性イオン液体を用いた電解液組成を設計し、電気化学特性や界面反応の解析を行っています。特に黒鉛負極上に形成されるSEI膜の構造や安定性に着目し、分子設計と電池性能の関係を明らかにしています。さらに、酸化物固体電解質や高分子電解質との複合化を進めることで、高イオン伝導性と機械的強度を両立した新規固体電解質の開発にも取り組んでいます。二つ目は、セルロース誘導体の合成研究です。イオン液体を溶媒とする均一溶解条件を確立し、アリル化やエポキシ化、さらには空気中のCO₂を利用した環状炭酸エステル化を通じて新規機能性材料を創出しています。これらは電気化学と高分子化学を融合する学際的アプローチとして展開しています。

展望

今後はリチウム系にとどまらず、ナトリウムやマグネシウムを対象とした次世代電池電解質の開発に研究を広げ、安全性と長寿命を兼ね備えた固体電解質の設計に注目しています。また、セルロース誘導体研究ではネットワーク構造化やイオン性基修飾を組み合わせ、電解質膜や分離膜といったエネルギー応用への展開を見据えています。これらを通じて、環境調和型材料の社会実装に貢献することを目指します。

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大学院工学研究科 化学工学専攻 准教授 柿部 剛史

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https://researchmap.jp/kakibet

研究者情報

研究情報
ジャーナル Electrochemistry, 90(3), 037006 (5 pages) (2022)
タイトル Branched alkyl functionalization of imidazolium-based ionic liquids for lithium secondary batteries
著者 T. Kakibe*, T. Ohata, R. Honda, S. Matsuda, T. Nakamura and H. Kishi
メンバー 柿部剛史,松田聡,中村龍哉,岸肇
URL https://www.jstage.jst.go.jp/article/electrochemistry/90/3/90_22-00001/_article

研究者マップ

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