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液中微粒子の可逆的分散状態制御とその応用

大学院工学研究科 化学工学専攻 准教授 佐藤根 大士

各種電池電極、化粧品、塗料などの液中に微粒子を高濃度に分散させたスラリーを取り扱うプロセスでは、液中微粒子の分散状態制御が非常に重要となる。また、液中の有価物回収では効率良く微粒子を凝集させる技術が求められる。本研究では、スラリー調製条件を最適化することで、圧力や撹拌などの外部刺激により液中微粒子の分散状態を可逆的に制御することに成功した。

液中微粒子の分散状態は粒子の表面性状によって変化するため、外部刺激によって液中微粒子の分散状態を可逆的に制御するには,液中微粒子の表面を適した状態に改質する必要があります。我々は、様々な高分子電解質を用いることで粒子表面を改質し、分散状態制御への展開を検討してきました。その結果、改質した粒子を用いて調製したスラリーに適切なイオンを添加すると撹拌による可逆的な制御が可能であること、別の改質法を用いると周辺圧力により同様の制御が可能であることを見いだしました。各種ものづくりプロセス、水処理・有価物回収などで幅広く応用可能と考えています。

背景

各種電池電極,電子部品,化粧品など,非常に幅広い分野でスラリーのシート成形が存在します。通常、シートには緻密さと柔軟性が求められるため、一般的には良分散状態に調製したスラリーにバインダーなどの添加剤を大量に使用して柔軟性を付与していますが、シートの緻密さ低下や大量のCO₂発生原因となります。このため、添加剤の大幅削減が求められています。また、水処理分野では重力を利用した沈降分離操作が行われていますが、操作の効率化のためには沈降時は粒子が凝集状態、堆積後は粒子が分散状態となる可逆的な微粒子の分散状態制御が求められています。我々は、これらの解決法として液中微粒子の可逆的な分散状態制御に取り組みました。

詳細

撹拌によるものは、高分子電解質分散剤添加によりスラリーを良分散状態に調製後、添加剤を投入して緩く凝集させることで成功しました。その原理は豆乳からの豆腐製造と同一であり、保管時はゲル(豆腐)でありながら使用時は軽い撹拌で良分散状態(豆乳)に戻るという古来からの技術を応用しました。「軟凝集スラリー」と呼んでおり、柔軟性のある電子デバイスの製造に利用可能です。
圧力によるものは、側鎖の溶解度に圧力依存性を有する高分子を粒子に吸着させておくことで、周辺圧力の変化に伴い粒子表面の状態が変化するという原理です。その結果、圧力による可逆的な分散状態制御に成功しました。この粒子は「圧力応答性粒子」と呼んでおり、液中の有価物回収に利用可能です。

展望

具体的には、以下のような研究に結びつくと考えられます。
・各種電池電極,積層セラミックコンデンサー等の電子デバイス製造
・顔料系インクを用いた印刷,塗装技術
・リキッドタイプ化粧品
・液中からの有価物回収など水処理分野

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大学院工学研究科 化学工学専攻 准教授 佐藤根 大士

researchmap
https://researchmap.jp/satonehiroshi

研究者情報

研究情報
ジャーナル 粉体工学会誌
タイトル スラリーの分散状態制御によるバインダーレスシート成形技術の開発
著者 佐藤根 大士, 馬場 康輔, 飯村 健次, 田口 翔悟, 山本 拓司
メンバー 佐藤根 大士, 馬場 康輔, 飯村 健次, 田口 翔悟, 山本 拓司
URL https://doi.org/10.4164/sptj.62.357
特許情報
文献番号 特許第6470025号
出願番号 特願2014-242973, 特開2016-104466
出願日 2014/12/1
公知日 2016/6/9
発明の名称 ナノ粒子回収方法
出願人 公立大学法人兵庫県立大学
発明者 佐藤根 大士, 飯村 健次
共同・受託 研究実績
期間 非公開
報告学会、展示会等の情報、 その他関連情報 粉体工学会,粉体工業展,化学工学会,分離技術会,日本エアロゾル学会等

研究者マップ

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