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[ものづくり]

CP TiおよびTi–Nb–Ta–Zr合金上の白色酸化物層の剥離抵抗性、微細構造、および酸化物形成メカニズム

大学院工学研究科 材料・放射光工学専攻 准教授 三浦 永理

材料界面の機能性向上に関する研究

特定の生体用チタン合金(Ti–Nb–Ta–Zr系)に熱酸化処理を施し、形成される白色酸化物層は、純チタン(CP Ti)と比較し、エポキシ接着剤に匹敵する極めて高い剥離抵抗性を示します。この高密着性は、酸化物層の微細な粒子からなる高密度な微細構造と、基材との間に生じる組成勾配を持つ界面構造によるものであると判明しました。さらに、このTi合金では酸化時に内向拡散と外向拡散が共に起こることも解明されました。この結果は、人工歯コーティングなど、高耐久性が求められる生体材料表面設計に重要な知見を提供します。

背景

チタン合金は、優れた生体適合性と機械的特性から、人工骨やインプラントとして不可欠です。しかし、インプラントの長期安定性は、生体組織と接する表面の特性に大きく依存します。熱酸化処理によって形成される酸化物層は、耐摩耗性や骨結合能を左右しますが、従来の層は密着性が低く、使用中に剥離するリスクがあります。本研究は、新しいTi–Nb–Ta–Zr系合金に着目し、その熱酸化処理による表面の剥離抵抗性と、高密着性をもたらす酸化物形成メカニズムを解明することで、インプラントの耐久性向上に貢献することを目指します。特に、耐摩耗性が求められる用途での応用が期待されます。

詳細

研究の結果、Ti–Nb–Ta–Zr系合金の白色酸化物層は、最大で70 MPaという極めて高い剥離応力を示しました。これは、CP Tiの層(7 MPa未満)と比較して桁違いに高く、エポキシ接着剤に匹敵する強度です。この高剥離抵抗性は、酸化物層が微細な粒子で構成された高密度な構造を持ち、さらに基材との界面が組成勾配を持つことで、応力集中を緩和していることに起因することが明らかとなりました。また、高抵抗性を示すTi合金の酸化過程では、チタン原子の外向拡散だけでなく、合金元素の内向拡散も同時に起こることが確認され、これが緻密な界面構造形成に重要であることが示されました。

展望

最大70 MPaという高い剥離抵抗性を示したTi–Nb–Ta–Zr系合金の高密着性白色酸化物層は、負荷が頻繁にかかる人工歯コーティングや人工関節の摺動部など、耐摩耗性と長期安定性が求められる生体材料の表面処理技術として有望です。剥離リスクが大幅に低減するため、高耐摩耗性インプラント表面として,インプラントの寿命延長に貢献できます。また、高密着性の酸化物層は、さらに骨誘導性や抗菌性を持つ物質を安定して固定するための理想的な土台(基盤)となり得ます。これにより、感染予防と早期骨結合を両立させる多機能性インプラントとして,より安全で高性能な医療機器の実現に貢献します。

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大学院工学研究科 材料・放射光工学専攻 准教授 三浦 永理

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https://researchmap.jp/read0055302/

研究者情報

研究情報
ジャーナル Materials 
タイトル Exfoliation Resistance, Microstructure, and Oxide Formation Mechanisms of the White Oxide Layer on CP Ti and Ti–Nb–Ta–Zr Alloys
著者 Miura-Fujiwara, Eri, Soichiro Yamada, Keisuke Mizushima, Masahiko Nishijima, Yoshimi Watanabe, Toshihiro Kasuga, and Mitsuo Niinomi
メンバー Miura-Fujiwara, Eri
URL https://doi.org/10.3390/ma14216599
特許情報
文献番号 第 6991480 号
出願番号 2017-244190
出願日 2017/12/20
公知日 2021/12/10
発明の名称 白色構造体及びその製造方法
出願人 兵庫県立大学,北見工業大学
発明者 三浦永理 ,内田恭兵,大津直史
共同・受託 研究実績
テーマ チタン合金の酸化被膜の歯科応用に関する研究
相手先 金属製品製造メーカー,歯科技工所,歯科材料メーカー他

研究者マップ

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