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[ものづくり]

ガスクラスターイオンを用いた先端表面分析技術の開拓

大学院工学研究科 材料・放射光工学専攻 准教授 盛谷 浩右

ガスクラスターイオンを高速で材料表面に衝突させると、表面の原子・分子やクラスターの破片が飛び出してきます。これらを調べることで、材料表面の状態を知ることができます。

ナノサイズの分子の塊であるガスクラスターイオンビーム(GCIB)で表面をノックし、放出される粒子を調べることで、その材料がどんな分子でできているか(化学情報)、どの程度硬いのか(機械特性)といったことがわかります。しかし、より詳細に精密に分析するためには、放出される粒子が表面のどのような性質に影響され、どのように反応するのかを理解することが必要です。私たちはこれらの仕組みを解明し、次世代の表面分析技術へ応用することで、目に見えないナノレベルの世界を探ろうとしています。

背景

試料表面にイオンビームを照射し、飛び出した二次イオンの質量を分析することで物質を同定する表面分析法を二次イオン質量分析(SIMS)と呼びます。2000年代以降、SIMSにGCIBを応用する手法が開発され、特に有機物分析の分野で革命的な発展を遂げました。さらに近年では、ガスクラスターの解離散乱スペクトルから表面の物理的性質を検出する新しい手法も提案されています。これらの分析をより高感度かつ精密に行うための技術を開発するためには、クラスター衝突に関わる物理化学的メカニズムを解明し、二次イオン発生や解離散乱の仕組みを理解することが不可欠です。

詳細

私たちは、様々な種類のGCIBを発生できるサイズ選別型GCIB-SIMS装置を開発してきました。この装置を用い、クラスターの衝突エネルギー(E/n)を精密に制御した実験を行うことで、二次イオン収率やフラグメンテーションの挙動、クラスターの解離散乱の特性を系統的に調査できるようになりました。さらに、アルゴン(Ar)に加えて、水分子やアルコール分子など多様なクラスターを生成し、二次イオン生成に及ぼす化学的効果についても検討してきました。これらの実験からクラスター衝突過程の基礎的メカニズムを理解し、表面の化学情報と物理特性を、より高感度に同時に評価できる新しい分析技術の開発を目指しています。

展望

SIMSをより高度な分析に応用するためには、高感度化、特にイオン化率の向上が欠かせません。クラスター衝突による二次イオン発生の原理を解明できれば、高感度化に向けた新しい技術開発が可能になります。さらに、「化学情報」と「物理特性」を同時に評価できるようになれば、先端材料分野に加え、医学生物学、環境、エネルギーなど多方面で、私たちの暮らしを支える最先端の技術開発に役立つことが期待されます。

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大学院工学研究科 材料・放射光工学専攻 准教授 盛谷 浩右

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https://researchmap.jp/moritani

研究者情報

研究情報
ジャーナル Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section B: Beam Interactions with Materials and Atoms
タイトル Internal energy evaluation of sputtered molecule under size-selected argon cluster ion bombardment onto soft or hard sample
著者 Taisei Toku, Kousuke Moritani, Yudai Tanaka, Norio Inui
メンバー Taisei Toku, Kousuke Moritani, Yudai Tanaka, Norio Inui
URL https://doi.org/10.1016/j.nimb.2024.165381

研究者マップ

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