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[ものづくり]

シリカ粒子テンプレート法による生体適合性ポリ(2‑(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン)中空粒子の調製

大学院工学研究科 応用化学専攻 准教授 遊佐 真一

リン脂質類似構造を有する生体適合性高分子PMPCをシリカ粒子上で重合し、中空粒子を作製する方法を確立した。重合溶媒の組成に応じて、中空粒子のシェル厚を自在に調節できた。蛍光色素のフルオレセインをモデル分子として最大約10 %、中空のコア内に取り込み、30–50時間にわたる徐放を達成し、薬物キャリアなど医用応用が期待される。

本研究では、半径150 nmのシリカ粒子をテンプレートに用いて、グラフトスルー法で、PMPCをシリカの周りで重合し、その後シリカを除去することで中空PMPCを得ました。重合する際の溶媒の違いにより、シェル厚を調節することも可能です。
酵素を取り込める医療用ナノカプセルへの応用を目指しています。

背景

生体適合性を有するポリ(2-メタクリロイロキシエチルホスホリルコリン)(PMPC)は、生体膜を形成するリン脂質の親水部と同じホスホリルコリン基を側鎖に持つため、タンパク質の吸着や、血液凝固を抑制する医療用材料として注目されています。一方、中空高分子粒子は軽量かつ内部空間に水溶性薬物などを取り込めるため、ドラッグデリバリーシステム(DDS)、触媒担体、フォトニック材料等への応用が期待されます 。自己組織化による中空粒子作製法では、空孔やシェル厚を精密に制御することが難しいため、テンプレートを用いた中空粒子作製法を用いました。

詳細

本研究では、ビニル基で官能基化した半径150 nmのシリカ微粒子をテンプレートして、2-(メタクリロイロキシ)エチルホスホリルコリンと架橋剤をグラフトスルー法で被覆して、シリカを除去して中空のPMPCを得ました。動的光散乱、赤外分光、熱重量分析、透過型電子顕微鏡で評価した結果、重合溶媒の組成によりシェル厚を調節できました。フルオレセインを内包すると、リン酸緩衝溶液中で30時間で約80%、50時間で約88%を放出し、生体適合徐放性キャリアとして期待できます。本研究成果は、生体適合性を持つ機能性ナノ中空粒子を精密設計するための基盤技術として位置付けられます。

展望

中空PMPC粒子は、水中でゲスト分子の内包と徐放を制御できました。重合時の溶媒の組成によりシェル厚を調節できるため、放出速度や機械的強度を調節できます。抗がん剤・酵素送達、造影剤などへの応用が見込まれます。さらに、感温性のシェルなどを組み込めば、刺激応答型のDDSなどへ高度機能化できます。シリカ以外のテンプレートを活用すれば多面体・ロッド状・多層中空粒子の創成も可能であり、多機能な次世代ソフトマテリアル基盤として大きく発展可能です。

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大学院工学研究科 応用化学専攻 准教授 遊佐 真一

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https://researchmap.jp/read0207532

研究者情報

研究情報
ジャーナル Langmuir
タイトル Preparation of Biocompatible Poly(2-(methacryloyloxy)ethyl phosphorylcholine) Hollow Particles Using Silica Particles as a Template
著者 Sayaka Fujii, Shohei Kozuka, Kaito Yokota, Kazuhiko Ishihara, Shin-ichi Yusa
メンバー Sayaka Fujii, Shohei Kozuka, Kaito Yokota, Shin-ichi Yusa
URL https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.langmuir.2c00423

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