講義では、科学の目を通して我々の置かれた環境を直視・理解し、持続可能な発展を続けるための諸問題を、バイオテクノロジーの観点から解決できる能力を習得できるように指導を心がけています。
研究では、生物、特に微生物の力とそれを活用する技術を最大限利用し、環境浄化、物質生産、高度バイオセンシングの研究に取り組んでおり、それらがすべて生物機能を活用するので、研究グループの名称の由来となっています。
環境に放出される化学物質の運命を正しく理解する知識とそれを具体的に環境改善に結びつける、バイオレメディエーションや廃水処理などのバイオ技術や化学分析技術を学べます。
ニトロ基、アミノ基、スルホン基などの置換基を有する芳香族化合物は、農薬、染料、洗剤や医薬品などの製造に大量に使用されていますが、非常に毒性の強いものが多いため、工業廃水など、汚染源での除去が重要です。本研究では、その中で、農薬や染料の基本骨格に含まれるアニリンやニトロフェノール、また、生物の性を転換させる環境ホルモン活性を有する物質・ビスフェノールSの微生物分解機構を解明し、それらの処理に役立てる研究をしています。そのような物質の分解微生物は、安価で環境に優しい技術として廃水処理や土壌浄化に活用されています。
有機廃液に含まれる安価な炭素資源から高付加価値の物質を生産することはバイオテクノロジーの得意とするところです。本テーマでは、微生物取り扱い技術、遺伝子操作技術、発酵技術を学べます。
我々の保有していますシトロバクター属の細菌は、酢酸を炭素源として培養すると培養液にキトサンのようなアミノ多糖を大量に分泌します。これに強い凝集活性があるので、水の濁りを除去する凝集剤として生産しようとしています。遺伝子操作による育種や培養条件の検討により、野生株の20倍以上活性の上昇した育種株が得られており、そのような菌株を用いて、この凝集剤を工業生産することを目標にしています。