菅 誠一郎Seiichirou Suga

教授|博士(工学)

[mail] suga@eng.u-hyogo.ac.jp

機械・材料工学科 材料工学コース
材料物理学研究グループ

講義では教科書を再構成し、内容を追加した資料を配ります。また、他の教科との関連についても紹介します。このようにして、幅広い視点で講義内容を理解することを目指しています。私は物質科学の理論研究をしています。量子力学に基づいて、興味深い現象の起源を理解するとともに、実験に先立つ物性予測を行っています。

遷移金属化合物の磁気的性質

学べる内容・身に付くスキル

近年、量子効果を操ることで技術革新を引き起こし、持続可能な省エネルギー型の社会を実現しようとする計画が各国で進められています。最近話題の量子コンピュータはその一例です。量子力学を用いて最先端の物質科学を研究する事により、量子効果が身近になり、その理解が深まると思います。

今世紀の初め頃に、未知の粒子を用いて量子コンピュータの演算をさせる革新的な理論が提案されました。最近になり、それが遷移金属化合物で実現するのではないかと指摘され、実験も行われて、世界中で大騒ぎになっています。私たちの研究室もその研究に参加して、実験結果を説明するなどの成果を出しています。

冷却フェルミ原子系に関する研究

学べる内容・身に付くスキル

現在、絶対温度で1億分の1度の制御が可能になっています。この途方もない低温を制御する技術は、カーナビ(GPS)などに使われています。この極端な環境下で自然はどのように振舞うのかを研究する事は、刺激に満ちています。ここでも主役は量子力学で、量子効果が身近になり、その理解が深まると思います。

絶対温度で1億分の1度程度に冷却した状況で、レーザー光による格子を作り、そこに多数の原子を置きます。この状況は金属中を動く電子によく似ています。レーザー光の格子なので乱れはなく、格子形状も自在に制御できます。また、原子間相互作用も制御可能です。この系は量子シミュレータと呼ばれ、金属化合物の未解明の問題に挑む舞台となっています。私たちは、量子シミュレータでの磁性や超流動の研究を通して、遷移金属化合物の難問にアタックする研究を行っています。