pH変化に応答するカチオン性ブロック共重合体の会合挙動

【緒 言】 親水ブロックと疎水ブロックから構成されるブロックコポリマーは、水溶液中で臨界ミセル濃度を超えると、疎水ブロックの分子間会合によりコア-コロ ナ型の高分子ミセルを形成する。一方、親水ブロックと、温度やpHといった外部刺激により水への溶解性が可逆的に変化するブロックから構成されるブロック コポリマーでは、刺激を加えたときに会合して高分子ミセルを形成し、刺激を除くと高分子ミセルが解離して単一の高分子鎖であるユニマーになると考えられる (Scheme 1)。また、この高分子ミセルのコアへは疎水性の低分子化合物を取り込ませることが可能であることから、外部刺激による低分子化合物の制御放出も可能にな ると期待される。したがって、このような外部刺激に応答した会合と解離を可逆的に制御可能な高分子ミセルは、ドラッグデリバリーシステムにおける薬剤の制 御放出モデルなど、幅広い分野での応用が期待される。
我々は、pHに影響されずに水溶性を示す第4級アミンを側鎖結合したモノマー(MAPTAC)と、pHにより水に対する溶解性の変化する第3級アミンを側鎖結合したモノマー(DEAEMA)によるブロックコポリマーMAPTAC62-DEAEMAnの 合成を計画した。酸性の水溶液中で第3級アミンはプロトン化されて水溶性を示すが、アルカリ性の水溶液中ではアミンは脱プロトン化されることで疎水的にな る。したがってこのブロックコポリマーは、アルカリ性の水溶液中では第3級アミンを含むブロックを疎水性のコアとする高分子ミセルを形成し、酸性の水溶液 中では高分子ミセルは解離してユニマーになると期待される。
 今回はこのようなカチオン性のブロックコポリマーを、”リビング”ラジカル重合法である可逆的付加-開裂連鎖移動(RAFT)型のラジカル重合により合成し、得られたブロックコポリマーのpH応答性について調べた。

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