超精密空気静圧スピンドルの特長



 空気静圧軸受は圧縮空気を供給することにより、軸と軸受との間に5〜20μmの空気層が介在することから、次のような特長が期待できる。

  
高精度 空気層による部品精度の平均化効果により、容易に高精度が得られる。
長寿命 金属接触がないため精度劣化が少なく、寿命は半永久的である。
高速性 流体が粘性の低い空気であるため、高速回転時の発熱が少ない。
省エネ 流体が粘性の低い空気であるため、無負荷動力が小さい。
振動・騒音 金属接触がないため、加工精度や工具寿命を阻害する振動や、作業環境を悪化させる騒音が少ない。
クリーン クリーンエアが供給されるだけであり、潤滑油や摩耗粉による環境の悪化が少ない。

 空気静圧軸受を上記の状態に維持していくためには、供給空気の管理が重要であり、油分・水分・ゴミを除去したクリーンな空気でなければならない。


コンプレッサとしては油分が混入しない構造であることと、水分を除去するためのドライヤを使用し、さらに、油分・水分・ゴミを遮断するためのフィルタユニットを設置しなければならない。
コンプレッサの圧縮部に潤滑油を使用していない構造(オイルフリーコンプレッサ)であっても、設置環境に切削や研削から生じるオイルミストが充満したような場所では、吸気からの油分が圧縮空気に混入することがあり、コンプレッサの設置場所にも注意を要する。
供給空気の圧力変動を抑えるため、空気静圧スピンドルに流れる空気流量の3〜4倍の吐出流量のコンプレッサが必要であり、吐出圧力も1〜1.5kgf/cm2にレギュレータで減圧し、使用元圧となるよう余裕を持たせなければならない。


 空気静圧軸受は回転中に過負荷が加わったり、空気の供給が止まると瞬間的に焼付きを起こす。ゴミの混入によっても同様の現象となる。
 このようなアクシデントに対する防護策として、主軸に硬化クロムメッキやセラミックコーティングを施したり、軸受側に固体潤滑性のある特殊カーボンを使用することによって焼付きを起こしにくい空気静圧スピンドルを得ることができる。