ガスクラスターイオンビームの照射効果


  クラスターイオン照射は、モノマー(単原子)イオン照射とは全く違ったクレーター状の照射痕が形成される。この形状はクラスターイオン特有のラテラルスパッタ効果(図2)によるものである。

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図1 イオン照射後のグラファイト(HOPG)表面のSTM像


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図2 ラテラルスパッタ効果




  クラスターイオンを構成する1原子あたりのエネルギーが、ターゲット物質の結合エネルギー(グラファイトの場合:約10eV)より小さいとき、クレーター状の照射痕が全く形成されない。

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図3 照射痕のエネルギー依存性

この結果より、クラスター構成原子あたりのエネルギーを調節することで、クラスターイオン励起表面反応の制御が可能である。