1.シュミレーション方法

右図に示すようなグラフェンシートとアルゴンクラスターの衝突を分子動力学法により解析した。炭素間のポテンシャルはTersoff-Brennerポテンシャルとし、また、アルゴン間およびアルゴンと炭素間のホテンシャルはLennard-Jonesポテンシャルとした。












2.シュミレーション結果

  炭素の六員環が横に51個、縦に45個並んだグラフェンシートに1000個のアルゴン原子からなるクラスターが衝突した場合をシミュレーションした。グラフェンシートのサイズは11.0nm×10.9nmであり、クラスターの速度は4914m/sとした.グラフェンの変形を図2に示す。アルゴン原子は緑、炭素は青で表示している。

3.応用例

  アルゴンクラスターがグラフェンシートに衝突すると、グラフェンシートは短時間に変形される。その変形を応用できる例として、分子噴射について調べた。下図はグラフェン上に吸着した炭素の六員環がクラスターの衝突により真空中に放出される過程を示している。アルゴンクラスターに含まれる原子数は10個で加速エネルギーは100eVである。炭素の六員環が破壊されることなく表面から取り除かれている。

4.関連論文

Actuation of a suspended nano-graphene sheet by impact with an argon cluster
N. Inui, K. Mochiji and K. Moritani
Nanotechnology 19 (2008) pp. 505501-505510