近年、地域の中で「エネルギーを融通する」という考え方が広まりつつあります。
皆さんが消費する電気や熱は、電力系統や都市ガスネットワーク、地域熱供給システムなどにより供給されますが、
消費量の管理はそれらインフラを所有・運用する事業者が一元的に行うのが一般的とされています。
しかしながら、太陽光発電のある家庭などでは、発電電力を自家消費したり電力会社に売るだけでなく、
近隣の家庭や建物へと直接融通する(売電する)という選択肢もありえます。
そのようなエネルギー利用に関する選択肢を増やすことが技術的に可能なのか、実現したとして良い世の中になるのか、
といった疑問に答えるべく、以下のような研究課題に取り組んでいます。
詳細は 個人Webサイト もご覧ください。
1)エネルギー供給系の物理的特性を考慮したEMS(Energy Management System)の開発
建物間でエネルギーを融通する際、その物理的な影響(例えば電力系統の電圧や周波数)は、当事者間のみでなく、供給システム全体に及びます。その影響の数理モデル化、解析、制御によって、供給システムの安定性を担保しつつエネルギーの融通を可能にするエネルギーマネジメントシステムの開発を目指しています。
[参考] 星野他, システム制御情報学会論文誌, 30(5), 157-166 (2017) [pdf]
2)ネットワーク利用料金の設計に関する分析
ネットワークの利用料金は、エネルギー輸送に不可欠なインフラの整備や維持のための費用を回収する役割を担うのと同時に、そのネットワークがどの程度利用されるかということにも影響します。ネットワークの効率的な利用を促しつつ、インフラネットワークへの適切な投資が促進されるための料金設計のあり方について検討しています。
[参考] 星野他, (一財)電力中央研究所社会経済研究所ディスカッションペーパー, SERC17002 (2018) [pdf]
地域におけるエネルギーシステムの例
エネルギー融通に伴う物理現象の分析例