日本で消費されている化石燃料の大部分は輸入でまかなわれており、発電所では石油や天然ガスなどの化石燃料を使用しているため、二酸化炭素を含む温室効果ガスが大量に排出されている。また、化石燃料などのエネルギー資源は埋蔵量が有限であるため、資源の枯渇が危惧されている。そこで、化石燃料に替わる新たなエネルギーとして、再生可能エネルギーを利用する太陽電池が注目を集めている。
現在の太陽電池の主流は結晶シリコン(Si)太陽電池であり、その中でもSi使用量の低減や高い変換効率が期待される薄型Si基板を用いた太陽電池が注目されている。太陽電池の高い変換効率を実現するためには、入射する光と、光によって発生する電子や正孔などのキャリア(電気の素)の完全利用を目指す必要がある。しかしながら、太陽電池の表面膜(パッシベーション膜)における光の反射や、パッシベーション膜と太陽電池との境界面(界面)及び太陽電池内部におけるキャリアの損失が問題となる。本研究では「光」と「キャリア」の損失が起こるパッシベーション膜及び太陽電池とパッシベーション膜との界面の電気特性を評価することにより、その原因を明らかにし高性能なパッシベーション膜の開発を目指している。
電子ビーム蒸着装置
超高真空原子間力顕微鏡