受賞したタイトルは,「炭素電極を備えた多層多孔質型ペロブスカイト太陽電池のホール輸送能力の強化」です. これは,既存の太陽電池よりも,薄くて軽く,さらに安価に製造できると期待される「ペロブスカイト太陽電池」に焦点を当てた研究です.本研究では電極に用いられる炭素材料に,ニッケル酸化物を導入することで,太陽電池の変換効率を13%から最大で15.2%まで引き上げることに成功しました.
発表者の博士後期課程2年生の辻さんは,「私達は,世界中の全ての人々が自由に,そして環境に優しいエネルギーを利用できる社会の実現を望んでいます.そのためには,とても安価なエネルギー変換デバイスが必要であると考え,これを可能にするエネルギー材料の研究開発を進めています.今回の学会では良い研究成果を発表でき,また活発な議論もできまして,とても有意義な学会となりました.」とコメントしました.
なお、本研究は、兵庫県立大学、フラウンホーファー研究所(ドイツ)、グルノーブル・アルプ大学(LEPMI、フランス)の3研究機関と、Solaronix(スイス)、紀州技研工業株式会社(和歌山県)の2企業による国際共同研究の成果であり、科学技術振興機構(JST, EIG CONCERT-Japan,「超空間制御による機能材料」)の支援のもと実施されました。