ある日の材料強度学講座.仲良し師弟コンビYくんとNくんが実験について相談中.

Y: 「それで,最近の進捗を教えてもらおうかな?」

N: 「はい,昨日でこの前かけた100時間のミリング作業が終了しました.」

Y: 「よっしゃ.そんなら,今日は粉末の硬さ試験をやってみようか.」

N: 「はいっ.硬さ試験か,楽しみだなぁ.よっし,がんばろう.」

二人はビッカース硬さ試験機のある部屋へ移動.

Y: 「これがビッカース硬さ試験機や.(この後,試験機の使い方,硬さの測定方法などについて丁寧な説明が行われる)・・・,というわけや.それでな,今画面に映っている粉末にくぼみをつけることになるんやけども,これがムズイんや.」

N: 「そうかぁ,普通の板材などと違って粉末なら圧子を狙う範囲がめっちゃ狭くなりますもんねぇ.」

Y: 「そうなんや,うまくできるようになるまで時間がかかるでぇ.最終目的は粉末の中央と端に圧子を打ってそれぞれの硬さを測定するんや.」

N: 「大変そうですねぇ.じゃぁ,早速Y先輩が教えてくれたようにやってみます.え〜と,こうやってこうやってと.あれっ?位置がずれてもた.」

Y: 「初めてやる子にはよくあることや.まぁ,しばらくはうまくできるように練習やな.」

N: 「よ〜し,がんばるぞ〜.(再びチャレンジする)・・・,あっ,今度は真ん中にくぼみは打てたのに粉末が割れちゃいましたよ.」

Y: 「これもよくあることや.粉末が割れるっちゅうことは,荷重が高いことやから,もうちょっと荷重を下げてやってみようか.」

N: 「はい,よ〜し,まだまだがんばるぞ.」

 30分経過.Nくんはなおも奮闘中.試料を研磨していたY先輩が様子を見に来る.

Y: 「どうや,うまくいっとるかぁ?」

N: 「いやぁ,慣れてきてはいると思うんですけど,うまくいったりいかなかったりですね.」

Y: 「もう少し時間かけてやってみよか.」

N: 「そうですねぇ.」

 そこへ,T教官がやってくる.

T: 「硬さ試験か,粉末に打ってるんだねぇ.」

N: 「そうなんです.なかなかうまくいかなくて・・・.」

T: 「そんな感じやね.ちょっとオレにもやらせてもらえないかな?」

Y, N: 「どうぞ,どうぞ.」

T: 「え〜と,こうやってこうやってと・・・,あれ?くぼみの位置がずれたぞ.」

Y: 「やっぱり,慣れるまで時間かかると思いますよ.」

T: 「もう一回!! え〜と,こうやってこうやってと・・・,あれ?また位置がずれた.」

Y, N: 「(・・・ヘッタくそやなぁ)←心の中の叫び」

  〜粉末の硬さ試験は本当に大変です...

粉末へのビッカース硬さ試験と圧痕(赤い点線で囲まれたものが圧痕です)