人工関節や歯科インプラントなど,生体組織や他の部材と常に接触があり,常に稼働する部位において,摩擦摩耗は重要な機械的性質です.生体用金属材料の生体内での微少摺動環境を想定した摩擦摩耗挙動を知り,X線回折法や組織観察でどのような表面損傷が起こるかを調べています.
自動車や航空機産業分野では,溶接の難しいAlやステンレス,Ti製部品の接合方法として,摩擦攪拌接合(friction stair welding, FSW)が実用化されています.Ni基超合金を凌駕する次世代の超耐熱Mo-Si-B合金のステンレスやTi合金など高融点材料用FSW 用ツールチップ材としての応用の可能性を探るため,耐摩耗性の評価を行っています.
インプラントや骨プレートなど,骨折部の補強や欠損の補綴に使われる生体材料用金属材料Tiは,骨より高いヤング率を持つ事による応力遮蔽に起因する骨吸収等が問題になっています.「最初はヤング率も強度も高く,骨とくっついたら骨並みになる」材料を作る!を目標に,TiとPMMAやリン酸カルシウムなどの生分解性材料の複合材を粉末冶金法で作製し,その機械的性質について調べています.
粉末冶金によって作製したTiC微細分散SUS316L材は,TiC粒の粒界ピン止め効果によるオーステナイト粒の結晶成長抑制効果が表れます.TiC分散の機構を探ると共に,結晶粒径と耐摩耗性の関係を調査しています.