ある日の材料強度学講座.徹夜明けのAくんが同じく徹夜明けのMくんに話しかける.

A: 「なぁ,今日は午後からシャルピーやるんやったなぁ?」

M: 「あぁ,そうやったで.けどな,ちょっと遅れるかもしれん.」

A: 「なんでやねん.」

M:A,何でシャルピー試験せなあかんか知っとるか?オレも来年は就職や.今のうちに勉強しよう思てな,ちょっとシャルピー試験について勉強しようと思ってるんや.」

A: 「(目をぱちくりさせて) どないしたん?びっくりするで.この前の酔っぱらいボーリング大会でぶっちぎりの優勝したお前が何を言うとん?徹夜続きでどうにかなったんか?」

M: 「オレは本気や.おちょくるなら,はよ次の熱処理でもやってこい.どうでもいいけどあの熱処理炉,ちょっと臭うで.」

A: 「・・・,悪かった.そんなら,オレも付き合うわ.」

その後30分間,二人は机にかじりついて本を読みあさる.

A: 「あぁ〜,もう限界や.なぁ,休憩や.

M:何を言うとん.オレはいろいろとわかってきたで.」

A: 「そんなら,いろいろと教えてぇや.」

M: 「ええで.まずな,いつもオレらがシャルピー試験で測定してるんは何やったっけ?」

A:吸収エネルギーやろ.」

M: 「そうやな.オレらは常温で試験することが多いんやけど,鉄鋼材料なんかについてシャルピー試験するとき,温度を変えて行っているそうや.」

A: 「温度?それは試験片の温度を変えてるっちゅうことかいなぁ?」

M: 「そうやで.だいたい常温(296K = 23℃)から77 K(-196℃)くらいまでやってるみたいや.」

A: 「77 K液体窒素やな.バナナで釘が打てますっちゅう世界かな?」

M: 「あぁ.そんでな,温度低下とともに吸収エネルギーは低下していくんや.それに伴って,試験片の破断面も延性破面脆性破面が混在するようになっていくんや.この吸収エネルギーや脆性破面率から延性-脆性遷移温度を測定するということみたいやで.」

A: 「いくつか決め方があるみたいやな.」

M: 「あぁ,そうや.おっともうこんな時間や.今日はここまでにしようか.」

A: 「いやぁ,いい勉強になったなぁ.この調子でこれから早速シャルピー試験をやろうか.」

M: 「そうやな,卒論提出まであとひと踏ん張りや.お互い,風邪など引かずがんばろうやないか.」

A: 「あぁ.けど,この調子やと今日も徹夜かな.今日も枕並べて一緒に寝よか.」

  AくんとMくんは今日も仲良く実験しています.