Research
超高熱流束や大面積パワーIC等に対応する非共溶性混合媒体を用いた革新的排熱技術に関する研究
非共溶性混合媒体を用いたプール沸騰
お互いに混じり合わない高密度低沸点媒体と低密度高沸点媒体が層状に分離したプール沸騰系において、限界熱流束の飛躍的増大,負荷変動の大きな冷却系で嫌われる沸騰開始時の伝熱面温度のヒステリシスの回避、非凝縮気体 (空気) 混入防止のための正圧作動下での冷却面温度の低減など、沸騰冷却システムの多くの弱点を克服できることが期待される。
本研究グループでは、代替フロン系媒体(高密度低沸点媒体)と水(低密度高沸点媒体)を非共溶性混合媒体の組み合わせとしたプール沸騰系おける、沸騰伝熱特性や流体挙動、限界熱流束増大効果などを系統的に調べている。
非共溶性混合媒体を用いた強制対流沸騰
上のテーマでの説明した通り、非共溶性混合媒体を用いた沸騰伝熱は飛躍的な伝熱性能の向上が期待される。本研究室では、非共溶性混合媒体を用いた狭隘流路の強制対流沸騰についてその伝熱特性や流体挙動の実験的研究を行っている。
宇宙環境下における熱流体に関する研究
沸騰・二相流体ループを用いた気液界面形成と熱伝達特性(略称:Two-phase Flow, TPF)
Interfacial Behaviors and Heat Transfer Characteristics in Boiling Two-Phase Flow
【参加機関:JAXA・九州大学・神戸大学・兵庫県立大学・室蘭工業大学・東京理科大学・北九州市立大学】
地上では液体を沸騰させると浮力で気泡が加熱面から移動するが、宇宙で液体を沸騰させると、出てくる気泡は動かずに大きくなり、熱が伝わりにくくなると言われている。しかし、無重力環境で沸騰気泡がどのように振る舞い、熱がどれくらい伝わりにくいか、よく分かっていない。TPF実験では、国際宇宙ステーション(ISS)・「きぼう」で、沸騰による熱の伝わる様子をしっかりと調べ、重力の影響を世界に先駆けて明らかにする。
詳細:
- JAXAページ https://iss.jaxa.jp/kibouser/subject/science/70616.html
- NASAの紹介記事 https://www.nasa.gov/mission_pages/station/research/news/two_phase_flow
極低温推進薬の長期保存を実現する革新的熱マネジメント技術の開発
Development of Innovative Thermal Management Technology to Realize Long-term Storage of Cryogenic Propellant
【宇宙科学研究所戦略的基礎技術研究:室蘭工業大学・兵庫県立大学・東京大学・JAXA】
再使用型宇宙輸送システムおよびその延長線上に位置づけられる軌道間往還機システムの構築、運用に必要な極低温推薬マネジメント技術の中で、特に推薬長期間貯蔵、ボイルオフガスの低減を実現するTVS(Thermo-dynamic Vent System)の開発を最終ターゲットとする。本研究室では、微小重力環境におけるタンク内全体ミキシングによる温度成層破壊について、落下塔などを用いた微小重力実験によって検証している。
熱流体工学の医療工学への適用
心臓大動脈弁の機能評価に対する流体工学的アプローチ
【神戸大学・兵庫県立こども病院】
心臓大動脈弁および肺動脈弁に対する弁置換術や弁形成術などの外科的手術介入において、手術後の弁機能評価は経験的な側面が大きい。本研究室では、流体工学的なアプローチによって、実験的手法から大動脈弁の機能を定量的に評価することを試みる。
マスク周りの気流可視化と啓蒙活動
この写真は、人が呼吸するときの口の周りの空気の流れを、レーザーを使って「見える化」し、さらに空気の速度を矢印で表したものである。流体工学という研究分野でよく使われる方法で、マスクをしていない人を上から見て、口の位置における断面を観察しており、吐息がまるでジェットのように口から飛び出しているのがわかる。一方、不織布マスクや布マスクを着用すると、ジェット状の流れは全く見られなかった。また、ウィルス飛沫のような微小球は、即座に呼吸の流れに乗って周囲に飛散することも流体工学の簡単な計算からわかる。つまり、マスクをして呼吸を遠くに運ばないことは、感染拡大防止のためにとても重要なのである。