研究目的

当研究室では

「エネルギー・環境問題解決への寄与を見据えたこれまでにない機能性材料を創出すること」
を目指し、 分子・材料の設計および合成から物性評価・デバイス作製まで行っています.

Keywords: 有機・無機合成、ナノ材料、光化学、太陽電池、触媒

  

研究内容


・有機薄膜太陽電池材料の設計と合成、性能評価

有機薄膜太陽電池 (Organic Photovoltaics, OPVs)は、"軽量・柔軟"といった従来の無機太陽電池にはない特徴を持つため, 次世代太陽電池として注目されています. OPVsの性能の鍵を握る「光活性層」は、「電子ドナー」ならびに「電子アクセプター」として機能する有機半導体の混合相であり、「電子ドナー」には共役ポリマー、「電子アクセプター」には有機π共役分子が用いられることが一般的です.

当研究室では「電子アクセプター」の開発に着目し、自ら設計した有機分子の基礎物性(光物性・分子間相互作用など)と太陽電池性能の相関を調べることで、高性能OPVs開発に向けた新たな分子設計指針の確立を目指しています.


関連論文
Umeyama, T. et al. Acc. Chem. Res. 2019, 52, 2046.
Umeyama, T. et al. Chem. Sci. 2020, 11, 3250.
Umeyama, T. et al. ACS Appl. Mater. Interfaces 2020, 12, 39236.
Umeyama, T. et al. Sustainable Energy Fuels 2021, 5, 2028.
Umeyama, T. et al. ACS Appl. Energy Mater. 2021, 4, 14022.


・原子層ナノシート材料への有機分子の修飾と光機能化

カーボンナノチューブやグラフェン、遷移金属ダイカルコゲニド(TMDs)などのナノシート材料は、特異な光化学的・電子的・機械的特性を持つため、有望なエネルギーデバイス材料や光触媒として注目されています.それらの材料表面における機能性有機分子の修飾は、ナノシート材料の凝集防止(安定性向上)やさらなる光機能性付与が可能となるため、有機分子の簡便かつ効率的な修飾方法の開発が望まれています.

当研究室では, 特に硫化モリブデンや硫化タングステンといった無機半導体の2次元シート材料であるTMDに着目し, ボールミルを用いた固相反応によって光機能性有機分子を修飾し光触媒活性などの機能を探索しています.


関連論文:
Umeyama, T. et al. Chem. Eur. J. 2018, 24, 1561.
Umeyama, T. et al. Chem. Eur. J. 2020, 26, 6726.
Umeyama, T. et al. J. Phys. Chem. C 2021, 125, 13954.


・金属ナノクラスター表面の有機分子修飾法の開発と機能化

粒子のサイズが1-2 nmほどの金属微粒子である「金属ナノクラスター」は、よりサイズの大きな「金属ナノ粒子」やより小さな「分子」の中間の性質を示す材料として近年興味が持たれています. また、大きな比表面積に起因した高い反応性や配位子によりチューニング可能な光学特性を有しており、新たな触媒・光学材料として注目されています. 研究室では、金属ナノクラスター表面に存在する有機分子(配位子)の役割に着目し、配位子のデザインに基づく新たな金属ナノクラスター修飾法を開発し、金属クラスターの新奇反応性/光物性の開拓を目指しています.


・ポルフィリン修飾方法の開発と触媒への展開

4つのピロール環をもつ芳香族化合物であるポルフィリンは、天然の光合成における光捕集アンテナで見られるような光機能性分子としてだけではなく、その金属錯体は様々な触媒活性を示す有用な化合物です. 最近では、金属を必要としないポルフィリン触媒も報告されており、メタルフリーの低環境負荷触媒として注目を集めています. 研究室では、ポルフィリン内部窒素原子の修飾による触媒機能の制御に着目し、内部窒素原子の効率的な修飾方法の開発ならびに酸素還元や水素生成触媒への応用を目指しています.

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