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木之下研究室です。

自作摩擦試験機のすすめ(2018.12.7)

 大学などの研究室は予算が少ない!なのに摩擦試験機は高い.とくに舶来品(死後)は,一千万円を超えるものがほとんどで国公立の研究室ではほぼ買えません.機械系学科ではCADも,工作機械もなんでもあるんだし,時間もあるし、自分で作っちゃえ.ということで沢山の摩擦試験機を作ってきました.しかも自分で作ったら潰れても自分で治せるし,改良も簡単.スペシャル装置でオリジナティの高い研究が出来たりと,といいことずくめです.ただ,作製に時間を取られますが.  
 摩擦試験機と言われるものは世の中には沢山あります.任意の荷重で2つの試料を接触させて動かせば摩擦が発生します.それゆえ摩擦試験機は,荷重を発生させるエアシリンダー(油圧,おもり,ばねなどもある)と2つの試料を相対運動させるモーターがあれば様々なタイプのものが作れます.実際にブルカーの摩擦試験機は1つの装置で様々なキットを買えば,様々な試験を行えます.  
 設計指針としては装置再現性と簡単に作れることを重視しました.これはどう言うことかと言うと,自作の装置はどうしても手動の装置を使って作ってしまうので,一品一品が微妙に異なったり,作るのがしんどかったりして,何台も作るのが億劫になってしまいます.なのでミスミさんでCナビを使い,これに合わした設計をすることにしています.一度設計すれば何度でも同じ部品を注文できます.往復摺動摩擦試験機の場合は,クランクの偏心プレートだけがNCフライスで作っていますが,他はすべてCナビで設計しています.また一般的な部品はモノタロウさん&ミスミさんで購入しています.  
 荷重や摩擦力の測定は,初期ではひずみゲージで梁のひずみを測り回路も自作していましたが,安定度がかなり悪いので(アナログ回路は苦手です),結局電装品は共和電業さんのロードセルと測定器を使うことにしています.ここだけで費用の1/2を使っているのですが,摩擦力と荷重のログをPCに取り込むのにADボードを買うとやはり結構な値段になってしまうので,今のところ、費用対効果でここだけは自作は止めておいた方が良いとの結論です.ブロックオンリングやピンオンディスクのような測定周波数の低い定常的な力なら(往復摺動は高い測定周波数が必要なのでだめです),ラズパイを使えば測定システムを2万円ぐらいで作れると考えていますが,まだやっていません.これさえできれば摩擦試験機を20万円ぐらいで作れると思います.あるいは摩擦力を測定しなくて,荷重もおもりで対応すれば,装置は大きくなりますが,かなり安くなります.
 

Kinoshita Labo.木之下研究室