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木之下研究室です。

研究内容research

 機械工学では、自動車や飛行機の開発などが目で見えて動きも面白く、派手な研究対象となる。しかし機械を動かすのに必須な摩擦・摩耗低減も欠かせない機械工学の研究対象である。この摩擦・摩耗研究を「トライボロジー」と称する。本研究室では主にトライボロジーに関する研究を、原子論の立場から行っている。

酸化グラフェンの潤滑添加剤への適用

カーボンナノ材料の1つの酸化グラフェンは1nm厚さのペーパー構造物質であり、合成が簡単で量産化に向いていることから様々な研究に用いられている。 本研究グループでは、世界に先駆けて酸化グラフェン分散水での非常に低摩擦な性質を発見した。現在、その摩擦メカニズムの解明と、 実用化に向けて水分散以外に潤滑油への分散に関する研究を行っている。

木質バイオマスからのナノ材料合成およびその応用研究

 木材を鋳型としてナノ材料の合成研究を行っている。特に、ナノ黒鉛(下図右中)はグラファイト層が球形とってなってそれが連なった構造で、 導電性カーボンブラックと類似した構造であり導電性および潤滑性が非常に高い。また各種のナノ金属も合成可能である。 現在、より低価格な合成方法の開発、および潤滑添加剤への応用などを行っている。

砂漠に生息するトカゲであるサンドフィッシュの鱗のトライボロジー

 生物は巧みな人類が思いもつかない方法で、様々な特異な性質を獲得し、より生存に有利なように利用している。引っ付き虫、サメ肌の水中抵抗軽減、カタツムリの殻の汚れ防止、ヤモリの手のどこでも吸着する能力など。これらを工学に応用するバイオミメティクスが注目されている。トライボロジーに関して、砂漠に生息するトカゲのサンドフィッシュの鱗が低摩擦・低摩耗であることが知られている。 本研究グループではこのメカニズムの解明を行っている。

ナノ・マイクロトライボロジー

 自動車などの荷重が数百Nの摩擦と比べて、荷重が1mN(一円玉の質量のさらに1/10)以下では、摩擦の様子がかなり変わってくる。 一番影響が大きくなるのが、大気中の水分による凝着力である。 この凝着力によって、摺動部分は固着され動かなくなる。そのためマイクロマシンやMEMSと言った微小機械は動きが制限される。 本研究グループではこのメカニズムの解明、およびナノ・マイクロ世界で有用な材料開発を行っている。

釣具のトライボロジー

 釣糸の結び、釣糸のガイドとの摩擦、釣糸とリールとの摩擦、釣糸と岩との擦れ、リールのドラグ、釣針の魚へのフッキングなど、釣具ではトライボロジー要素が非常に多い。しかしながらこれらのデータは、個々の釣り人やメーカの社秘として、多くの釣り人に共有されるような情報としては公開されていない。また公開されていたとしても、実験条件などが不明な場合が多い。つまり一般の学術論文に掲載できるほど信頼性のあるデータとしては、かなり少ない。本研究室では、釣具のトライボロジーについて学術的な研究を行い、釣具の発展に貢献する。

Kinoshita Labo.木之下研究室