人工関節を用いて手術中に関節反力を計測する研究

人工関節の手術中に関節反力を計測することにより、関節周囲の軟組織の張力を可視化する装置の開発を目指します。 関節周囲軟組織の張力は、計測された報告が現在無いため、 まずは装置を開発し、数多く計測することを目指します。 現在は、人工股関節を用いて、旭川医科大学整形外科と共同で研究を行っています。
この研究は日本学術振興会の科学研究費補助金によりサポートされています
2017年に実施した在米企業との共同研究の成果として、センサが商品化されました。

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筋力トレーニングの力学

筋力トレーニングの動作中における筋力、関節反力などを力学的に求める研究を行っています。
モーションキャプチャシステムを用いて動作を取得し、筋骨格コンピュータモデルを用いてパソコン内で計算を行います。 モーションキャプチャシステムとは、左の写真に見える6台のカメラから身体に貼り付けた反射マーカーの3次元位置を取得し、動作を求めるシステムです。 つまりカメラと言っても映像を取得するのではなく、赤外線により反射マーカーまでの距離を取得しています。 現在は筋トレに限定しスクワットのみを行っていますが、今後は様々なスポーツ時の動きを解析する予定です。

脚長差が歩行に与える影響の研究

一般的に脚長差が3cm未満であれば,脚長補正を行う必要はないと言われており,補正手術は自己判断となります.そのためほとんどの人は脚長補正を行わずに生活しています. しかし,脚長補正をしない状態でいると過剰な代償動作が生じ、腰痛や関節の炎症を伴う可能性があります.
本研究では3次元モーションキャプチャシステムを用いて,脚長補正する前と後の歩容変化を定量的に明らかにするとともに,脚長補正によりどの程度歩容の左右差が改善できるのかを解析します. また,筋骨格シミュレーションソフト(OpenSim)によりパソコン内にて歩行動作を再現し,脚長補正の前後で,下肢関節にどのような影響を与えるのかを力学的に計算することを目的としています.

筋骨格コンピュータモデルを用いて関節反力を計算する研究

人工関節の手術中に関節反力を計測する研究とリンクしています。筋骨格コンピュータモデルに人工関節を埋めるシミュレーションを行い、関節反力を計算により求めます。 右の写真の肩関節には、見えにくいですが人工肩関節が埋め込んであります。手術中をシミュレートすることにより計測装置の設計に使用するとともに、実際に計測した値の検証として使用できます。 さらに手術後の運動時の関節反力を求めることにより、日常生活において人工関節が受ける力を求めることが可能となります。この計測は現在は非常に難しい計測となっているためシミュレーションで正確に求めることに意味があります。

膝周囲骨切り術に関する研究

過度の内反膝(O脚)により、歩行時に膝内反モーメントが増大し膝内側顆に偏った荷重が負荷されることがあります。 偏った荷重は変形性膝関節症の進行要因となりうるため、膝周囲骨切り術が施されます。 この膝周囲骨切り術の更なる臨床成績向上をめざして、術後に起こりうる体内での力学環境の解明を目指して研究を行っています。 実際の手術手技に基づいた関節モデルをコンピュータ内にて再現し、有限要素法(Finite Element Method)、3次元CAD(Computer Aided Design) 筋骨格シミュレーションソフト(Opensim)などを用いて研究を行います。
本研究はジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカルカンパニーからの研究支援金によりサポートされています。

歩行時の関節トルクを求める研究

3次元モーションキャプチャシステムを用いて歩行動作をデジタル化し、筋骨格シミュレーションソフト(OpenSim)によりパソコン内にて歩行動作を再現します。
物体の運動は、高校物理で勉強するニュートンの運動方程式(運動の第2法則) F=ma に従います。 回転運動については、大学1年で勉強する剛体の回転運動の運動方程式に従い、これらの方程式はそれぞれ時間で積分することにより、速度や位置が理論的に求まります。 これは人体の運動についても同様で、筋力により関節トルクが発生し関節運動が起こるため、筋力がわかれば運動が記述でき、逆に運動から筋力を逆算することも可能です。 後者を逆動力学 (Inverse Dynamics) と言い、この研究分野ではこちらが主に用いられます。筋力を求めることは理論的に難しいためです。 これらの手法を用いて、細かな動作の修正や骨格の違いが、下肢関節にどのような影響を与えるかを力学的に計算することを目的としています。