研究グループの紹介
ダイナミック構造解析研究グループ
Dynamic Structure Analysis for Nano-Micro Materials

川月 喜弘 (かわつき のぶひろ) |
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准教授 | ||
専門分野 | 機能性高分子 |
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足立 大樹 (あだち ひろき)※ |
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准教授 | ||
専門分野 | ナノ組織制御 |
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山崎 徹(やまさき とおる) | ||
教授 | ||
兵庫県立大学教授 東北大学客員教授 |
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専門分野 | 材料設計学 |
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三浦 永理(みうら えり) | ||
准教授 | ||
専門分野 | 生体材料学 |
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研究紹介
ダイナミック構造解析研究グループでは、主にバルクナノメタル(BNM)に関する研究を行っています。BNMとは、バルク状のナノ結晶材料のことであり、このBNMは、電解析出法や、近年開発された巨大ひずみ加工法を用いることにより、作製が容易になっています。このBNMの強度は従来粒径材と比べて非常に高い強度を示し、例えば、純アルミニウムをBNM化することにより、従来材の4倍程度の330MPaまで強度が上昇します。このように希土類元素はもとより、元素の添加をほとんど必要としない強化法であるため、リサイクル性が非常に高い材料です。このBNMを輸送機器に適用し、軽量化を実現することによって、燃費向上やCO2排出量が減少し、環境負荷の大幅な低減が期待出来ます。
しかしながら、このBNMは従来粒径材が示さない様々な特異な力学的特性を有することが報告されています。例えば、BNM化した純アルミニウムに焼鈍を施すと、「強度が増加し、伸びが低下する」という従来粒径材とは正反対の挙動を示します。また、従来粒径材においても結晶粒が微細になるとHall-Petchの式に従って強度が増加することは良く知られていましたが、BNMではHall-Petchの式から予測されるよりもかなり高い強度を示します。
これらの特異な現象は、BNMの変形機構が従来粒径材とは異なることを示唆していますが、このようなナノ構造を有する材料の動的変化をその場観察することは非常に困難であるため、これまではその詳細が明らかになっていませんでした。そこで私は、SPring-8放射光施設を用いたIn-situ X線回折実験によるダイナミック構造解析を行うことによって、BNMの変形機構を明らかにしようと試みております。
この他にも、金属材料中に形成されたナノクラスターの熱処理や、加工による組織変化など、様々な動的変化を、In-situ X線回折実験、In-situ 小角散乱実験、In-situ EBSD測定、In-situ XAFS測定などのダイナミック構造解析手法を駆使して明らかにしていこうと考えております。
キーワード
バルクナノメタル、ナノ結晶、In-situ測定、構造用金属材料、機械的性質、ナノクラスター、 SPring-8放射光